取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った早貴さん(仮名・36歳)は小さい頃に両親が離婚して、15歳になったときに母親が再婚。そして、17歳で妹ができます。妹ができたことで血のつながらない父方の祖母との交流も頻繁になり、みんなが優しくしてくれていた中で疎外感だけが強くなっていったとか。
「もう母親に甘えたい年齢でもなかったし、誰からも冷たくされてはいません。それなのに、早く家を出たい、ここから離れたいと、あの頃はずっと思っていました」
不仲になっていく母と義父。私と義父の関係は良くも悪くもずっと変わらなかった
母や義父に対して疎外感は強くなっていくものの、最初は疎ましく思った妹の存在はただただかわいかったと振り返ります。母親も祖母も妹を溺愛している中、義父からだけは妹に対する愛情を一切感じられなかったそう。
「赤ちゃんって想像以上に手がかかるし、もうそのことだけでいっぱいいっぱいになる。私はできる限り母親を手伝いましたが、母は何もしない義父に対してイライラするようになっていきました。同じように、義父も泣き声に対してイライラしているようでした。
2人は赤ちゃんの妹をそっちのけでケンカすることが多くなりました。ケンカは最初こそ冷静なのですが、徐々に声が大きくなり、別室にいる私にも聞こえてくる。義父は『望んでいなかった』とか、もっと子どもを気にかけてと言う母に対して『1人で面倒が見られないなら産まなきゃよかったじゃん』とか。それが聞こえてきたときは、最低というよりも、うわ~と引いてしまうような気持ちでした」
日に日に母親と義父は言葉を交わさなくなり、早貴さんもそんな2人の離婚を望むように。しかしそんな環境の中、前と変わらず義父と早貴さんの間では会話はあったと言います。
「それでも義父は家に帰っては来ていたので、母が無視するから私が義父の分までご飯を作ったりしていたんです。そしたら義父は『ありがとう』とか『おいしい』とかちゃんと言ってくれました。それを母にちゃんと伝えればいいのに、どっちも意地になっているようでしたね」
【最後も、母親は親であることよりも妻を選んだ。 次ページに続きます】