コミック、アニメともに今大人気の『呪術廻戦』。登場人物の一人「五条悟」からはマネジメントの多くを学ぶことができるという。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp/)」で、「五条悟」から知見を得よう。
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『週刊少年ジャンプ』の大人気漫画『呪術廻戦』。今回取り上げるのは、主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)が通う呪術高専の教師にして「最強の呪術師」五条悟。呪術師としてはもちろん、生徒の教育においても高いスキルを持っています。五条悟からは、部下を持つ我々に必要な「モチベーションマネジメント」の術を学ぶことができます。
本記事では、五条悟が持つ部下の教育術を解説していきます。
呪術廻戦とは?
※本記事はネタバレを含みます。
2018年に連載を開始した本作品は、2年足らずという早さでアニメ化した、ジャンプの看板作品です。
本作は、呪いが実体化した「呪霊」を、専門家である「呪術師」が祓うという、一見シンプルな構図のダークファンタジー。
主人公の虎杖悠仁は、ある日「呪術高専」の学生であり、優秀な呪術師でもある伏黒恵と出会います。伏黒は虎杖が持っているはずの呪物「宿儺の指」を回収しようとしますが、指はオカルト研修会の先輩が持っていると答える虎杖。
夜の学校で指の封印を解くと言っていたことを思い出し、虎杖と伏黒は急行しますが、既に封印は解かれ、先輩は呪霊に襲われていました。
伏黒も押される中、呪力のない虎杖にできることはありません。
そんな時、虎杖は指を取り込めば呪力を手にできると考えます。虎杖が指を食べると、宿っていた最強の呪霊「両面宿儺」が虎杖の身体を乗っ取りました。
そこに五条悟が現れます。彼は虎杖を気絶させ、拘束しました。本来、即死刑になるはずの虎杖に、五条悟は問いかけます。
「今すぐ死刑か、宿儺の指を全て取り込んでから死刑になるか、どっちがいい?」
呪術廻戦はなぜ日本でヒットしたのか?
『呪術廻戦』のヒットの要因として一番に考えられるのは、独特な「死の捉え方」です。
主人公の虎杖は、自ら呪術師となって活動していきますが、決して「呪霊から人を助ける」目的で戦っているわけではありません。彼がこだわっているのは「正しい死に導く」ことです。
虎杖は、少年漫画において「人を助ける」とか「世界一を目指す」といった分かりやすい目的を持つ主人公とは一線を画します。
「人は死ぬ」という、当然のことながらダイレクトに描かれることのない価値観。これを前面に押し出したところからストーリーが始まる「異質感」こそが強烈なインパクトとなり、『呪術廻戦』の大ヒットに繋がりました。
参考:【ゼロからわかる】なぜ『呪術廻戦』はこの時代に“絶大な支持”を得るのか?|現代ビジネス:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81937?imp=0
呪術廻戦が日本社会に与えたもの
『呪術廻戦』においては、主人公の「傷の負い方」も特徴的です。
虎杖悠仁は「人を正しい死に導く」ことを念頭に活動する呪術師です。しかし、その想いとは裏腹に、敵は人を次々と葬り、虎杖に「心の痛み」を与えます。
更には生きた人間を改造する呪霊の登場や、宿儺に乗っ取られたことで虎杖自身が人を殺す展開など、彼は絶望の淵に追いやられていきます。
こうして心の傷を追っているのは、虎杖だけではありません。同級生の伏黒恵や釘崎野薔薇は、過去に囚われながら戦っています。”最強”を自負する五条悟ですら、過去に背負った後悔を抱えながら、ときに葛藤し、生きています。それでもなお前を向く姿が、人々を奮い立たせているのです。
参考:鬼滅、呪術廻戦……ヒット漫画から考察過酷でリアルな「令和ヒーロー」の系譜|CREA:https://crea.bunshun.jp/articles/-/29448
五条悟とは?【ネタバレあり】
誕生日 12月7日
年齢 28歳
身長 191cm程
出身地 不明
好物 甘いもの
声優 中村悠一
五条悟は、『呪術廻戦』の主要キャラクターです。アニメ版では声優の中村悠一さんがその声を演じています。普段は飄々とした雰囲気で掴みどころがない五条悟ですが、ここぞというときは「作中最強」の名に恥じない活躍を見せます。呪術界御三家のひとつ「五条家」を牽引しており、能力の高さから敵味方問わず要注意人物として扱われる存在です。
しかし生徒からは「バカが時間通りに来るわけねーだろ」「誰もバカが五条先生のこととは言ってませんよ」などといじられており、実力の高さとは裏腹に親しみやすい存在のようです。
呪術廻戦における五条悟の役割
五条悟は作中で、呪術高専東京校の1年生の担任を務めています。任務に現れない五条を探している虎杖に、伏黒恵が「高専でぶらぶらしていい人材じゃないんだよ」と説明するなど、教師以外にも多くの仕事を抱えていることがわかります。
五条悟は裏で暗躍している様子も見せますが、基本的には教師という役職の通り、学生の指導役として活躍しています。1人1人に向き合い、状況に合った言葉をかけ奮い立たせるなど、普段の軽薄な性格とは裏腹に、しっかりと学生のモチベーション管理にも気を配っています。
五条悟の戦い方は? 能力と領域展開について
関係者全員から「最強」と称され、呪術界の上層部すら1人で壊滅できると評されている五条悟の圧倒的な実力は、五条家に伝わる相伝の術式「無下限呪術」と、特異体質の「六眼(りくがん)(※)」に由来しています。
ここからは、五条悟を「最強」たらしめる能力について、解説していきます。
※六眼とは、高解像度のサーモグラフィーのように呪力の流れを認識できる目のこと。
全てのベースとなる能力「無下限呪術」
五条家相伝の術式「無下限呪術」は、あらゆるところに存在するとされる「無限」を自在に操れる能力です。作中で明らかになっているだけでも
・一切の攻撃が当たらない
・無限を収束し、発生した引力で敵を吸い寄せる
・無限を発散し、触れたものを弾き飛ばす
・瞬間移動
・宙に浮く
などを可能にする、最強の術式です。
攻撃力の高さもさることながら、五条は基本的に、あらゆる攻撃を防げます。更に、術式は常に発動し、無意識で対象を選別し防いでいるため、たとえ不意打ちでもかすり傷ひとつ付きません。
圧倒的な破壊力 虚式 茈(きょしき むらさき)
五条家の中でも僅かにしか知られていない技が「虚式 茈(むらさき)」です。
無下限呪術で発動できる2つの術
・“引き寄せる力”術式順転:蒼(あお)
・“弾き飛ばす力”術式反転:赫(あか)
を衝突させることで生まれる「仮想の質量」を押し出す技です。
その威力は、虎杖と京都校の3年「東堂葵」が2人掛かりでも仕留めきれなかった特級呪霊に一撃で致命傷を与え、広範囲で地面をえぐり取るほど。まさに「規格外」と言える技です。
領域展開「無量空処(むりょうくうしょ)」
領域展開は、呪術師の中でも限られた者にしか使えない「呪術の極地」です。呪力によって特殊な空間を発生させ、自分の術を必中させることができます。
五条悟の領域展開「無量空処」は「展開した時点で勝ちが確定する」と言われる程の威力を持ちます。無量空処の領域に入った相手は、五感の知覚や脳内情報の伝達など生きる行為に無限の作業を強制されます。つまり、いつまで経ってもすべての情報が完結せず、指先一本動かすことすらできなくなるのです。まさに「最強の呪術師」が使うに相応しい奥義です。
五条悟が最強と言われているのは、絶対的な「矛」と「盾」を同時に備えているからなのです。
五条悟に学ぶ強いリーダーシップとは
チームマネジメントやモチベーションマネジメントにおいて、リーダーとしての資質や発言には大きな影響力があります。
ここからは、五条悟が持つリーダーシップの秘訣について、エピソードを交えて解説します。
スキルアップのための努力を怠らない
五条悟は、生まれた瞬間から「六眼」「無下限呪術」など、呪術師として天賦の才能を持っていました。
しかし、何の努力もせず「最強」になったわけではありません。自身が学生だった頃、人生唯一の「敗北」を喫しています。悟はその後、更なる高みを目指して修行を続けました。結果、今の「最強・五条悟」が誕生したのです。
現実の組織において「常に向上心を持ち、努力を続けるリーダー」がどれほどいるでしょうか。リーダーという役職に驕り、あるいは今の業績に満足し、それ以上の成長を求めなくなったリーダーについていきたいと思う部下は多くないはずです。
逆に、自分より実力の高い上司が更なる「上」を目指して邁進する姿に勇気づけられ、やる気を出す部下は多いです。あるいは、自分も負けていられない、と闘争心を燃やして努力をする者もいるでしょう。
リーダーが常に上を向き、更なる高みを求めて努力し続ける姿は、それだけでメンバーのモチベーション向上に繋がります。
圧倒的な実力でチームの精神的支柱になる
作中には、呪術師たちがいかに五条悟を頼りにしているかが分かる台詞が多くあります。
「五条悟が消えれば 呪術界も人間社会もひっくり返る」
「もし(悟の)封印が本当なら 終わりです この国の人間すべて」
圧倒的な実力を持つリーダーは、組織にとってこれ以上無い安心感をもたらします。当然ながら、五条悟のような「最強」と呼ばれる実力を持っているリーダーは稀です。しかし、部下の前で弱気になっていては、部下にも不安が伝播してしまいます。リーダーが自信を持ち安心感を与えることで、チームは一丸となります。ひとつにまとまったチームは非常にマネジメントしやすく、結果的に高いパフォーマンスを発揮できると言えます。
上下関係に囚われない
五条悟は圧倒的な実力を持っていることもあり、立場が上の者に対しても物怖じせず、自分の意志をはっきりと伝えます。逆に、呪術界隈に関して無知な虎杖を下に見ることなく、平等に接しています。現代社会において、上下関係に囚われないというのは非常に難しいです。どうしても上司の目は気になってしまいますし、自分より実力の無い部下にはときに腹が立ってしまうこともあるでしょう。
しかし、それを押して誰に対しても平等に接することで、組織のリーダーとしての格が上がるのは間違いありません。特に、フラット型組織のリーダーとしては非常に優秀であり、働く上で余計なストレスの無い、快適な職場作りには欠かせない存在です。
五条悟から学ぶ部下のやる気を高めるリーダーの条件
リーダーにとって、部下のやる気を高めることは極めて難しい仕事です。
ここからは、そのために必要な条件を3つ、解説していきます。
部下の短所を叱るのではなく長所を伸ばす
叱られて伸びる人も確かに存在します。しかし、「叱る」という行為は、部下のやる気を削いだり、自己肯定感を低下させたりしかねない諸刃の剣です。
上司に叱られてやる気が出る場合もありますが、多くの人はポジティブなフィードバックの方が、モチベーションが高まるとされています。
更に、部下に短所を克服させるのではなく、長所をより伸ばしてもらう方が、組織にとってはプラスに働きます。メンバー1人1人の特徴を活かし、秀でている分野が多いチームになるためです。部下のできない部分にばかり眼を光らせるのは簡単です。それよりも、少しでもできるところ、伸ばしてほしいポイントについて褒め、部下のモチベーションと共にチームの実力を伸ばすことが、リーダーには必要だと言えます。
参考:「やる気が出るのは叱られた時? 褒められた時?」心理学が明らかにした意外な事実|DIAMONDonline:https://diamond.jp/articles/-/281440
チームの雰囲気までもマネジメントする
チームの雰囲気が悪いことで起こり得る問題として、以下が挙げられます。
・離職率が高まる危険性がある
・メンバーのメンタルに悪影響を及ぼす
・社員のモチベーションが低下する
など、どれもチームにとっては由々しき事態です。
チーム全体の雰囲気をマネジメントし、メンバーにとってより良い環境を提供することも、リーダーにとって不可欠な能力と言えます。
雰囲気を良くするための手段のひとつに「コミュニケーションを活性化させる」ことがあります。五条悟のように、積極的に話しかけたり、時には自らを笑いの対象として提供することで、メンバーのコミュニケーションを活発にし、団結力を高める効果があります。
参考:職場の雰囲気が悪いとどうなる?改善する手段とは|goalous:https://www.goalous.com/blog/ja/what-happens-when-there-is-a-bad-atmosphere-in-the-workplace-what-are-the-ways-to-improve-it/
部下を信頼し任せる
実力を持ったリーダーにとって、部下に任せるより、自分でやってしまった方が仕事が早く終わる、ということも多々あります。しかし、重要な仕事を部下に任せないことによって問題が生じる場合もあります。
起こり得る問題として想定されるのは
・部下が「自分は信頼されていない」と考え、仕事へのモチベーションが低下する
・部下が成長せず、いつまで経ってもリーダーが業務から離れられない
などです。
仕事を任せる行為は、リーダーにとってある種リスクとも言えます。しかし、部下を信頼せず、いつまで経っても仕事を任せられないようでは、よいチームを作ることは困難です。
適切なリスクヘッジをしながら部下の成長に手を添え、挑戦させることも、マネジメントには欠かせません。
まとめ|五条悟は理想のプレイングマネージャー
五条悟は最強と呼ばれる実力を存分に発揮しながら、生徒の育成にも手を抜かない、まさに理想のプレイングマネージャーです。
『呪術廻戦』18巻の時点で、五条悟は敵の策略によって封印され、全く身動きが取れない状態です。しかし、手塩にかけて育ててきた虎杖悠仁や伏黒恵をはじめとする多くの呪術師が、五条悟の封印を解くために奔走しています。
まさに、五条悟が部下の育成に手を抜かなかった故の結果でしょう。もし彼が、1人で全てを片づけてしまうワンマンプレイヤーであったなら、五条悟が封印された時点で世界は呪霊に乗っ取られ、物語はバッドエンドを迎えていたかもしれないのですから。
【この記事を書いた人】
識学総研 編集部 株式会社識学内にある、コンテンツを企画・制作する編集部です。 『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作。
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いかがでしたか。コミック『呪術廻戦』の五条悟がマネジメントの手本になる理由がおわかりいただけたでしょうか。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/