歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして…。うっかり漢字の読み方なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の方は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて言い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
そんなことにならないように、動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。
「脳トレ漢字」第98回は、「水馬」をご紹介します。「馬」という漢字が使われていますが、馬の一種ではなく、脚が長いあの昆虫のことです。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「水馬」はなんと読む?
「水馬」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「みずうま」ではなく……
正解は……
「あめんぼ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「アメンボ科の昆虫。池などの水面を滑走し、水面に落ちた昆虫を捕食する」と説明されています。水溜りや池に現れ、体長よりも長い脚を使って水の上をすいすいと歩く姿が特徴的です。
「あめんぼ」が水面を移動できるのは、長い脚の先に生えた細かい毛から、水を弾くための油が染み出ているからです。体の軽さと油が水を弾く力が、あの独特な動きを実現しています。
ちなみに「水馬」を「すいば」と読んだ場合は「乗馬したまま水を渡る馬術のこと」を指す言葉になります。
「水馬」の漢字の由来とは?
「水馬」を構成する漢字を見ていきましょう。
これは、水面を跳ねる「あめんぼ」の様子を「馬」に例えたものだと考えられています。「水馬」のように「あめんぼ」の姿形に由来する漢字表記は幾つかあります。例えば、あめんぼを「水黽」と書く場合は「黽(かえる)」に、「水蜘蛛」と書く場合は「蜘蛛(くも)」に例えられているのです。
「あめんぼ」の語源は?
「あめんぼ」の語源をご存知でしょうか? 雨が降った水溜りでよく見かけるため「雨」が関係していると思われがちですが、別の語源です。
「あめんぼ」の「あめ」は、舐める「飴」を意味しているとされます。というのも「あめんぼ」が体の中央にある臭腺から、飴のような甘い臭気を発するためです。「ぼ」は「坊」もしくは体の細さから「棒」の意味だとされ、「ん」は助詞「の」が転じたものと考えられています。つまり、「飴の坊(飴ん坊)」が「あめんぼ」の語源なのです。
そのため「水馬」の他に「飴坊」「飴棒」と書かれることもあります。
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いかがでしたか? 今回の「水馬」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 雨の降る季節が近づくと「水馬」を見かける機会も増えるのではないでしょうか。少し立ち止まって、水溜りを眺めてみても面白いかもしれません。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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