高齢化社会が進行していく中で切っても切り離せない問題の一つに、葬儀が挙げられるでしょう。最近はたくさんの方々にお越しいただくお葬式より、「家族葬」という言葉をよく耳にするようになりましたが、葬儀のマナーの基本は大きく変化することはありません。

なぜなら、参列いただく親族に対してもまたお招きする宗教者の方にも失礼のないようにしなければならないことは同じだからです。葬儀とは最愛の故人を送る、大切な儀式。礼節をわきまえることが、送り出す家族としてもっとも必要な事ではないでしょうか?

この記事では、葬儀・お葬式でのマナーについて、「京都日葬」(https://kyoto-nissou.com)の阿部 雅がご紹介いたします。

目次
葬儀の流れについて
親族ならではの葬儀参列マナー
代表的なお悔やみの言葉
まとめ

葬儀……日常の生活の中で最も遠い言葉に聞こえませんか?

この世に生命を受けた時から、死という旅立ちの時は避けられません。頭の中では当然理解をしているのですが、大切な人がまた自分自身がこの世から旅立つことはなかなか受け入れることができないですよね。長年この仕事に携わって参りました私自身も、身内に不幸があったとき、何からすればいいかわからなくなった経験があります。

生きていくうえで必ず起こりうる不幸には、様々なケースがあります。お別れまでゆっくりと時をすごせるケースもあれば、思いもよらない進行をする病や事故などもあります。

もし、この記事を目にしていただいている方のお身内に不幸が起こってしまった場合、初めにしなければならないことは「葬儀社の選定」です。

ここの判断を間違えてしまうと、時として大切な別れの時間がつらい思い出になってしまうことも……。不幸があったとき慌てるのは当然なのですが、初動の「葬儀社の選定」には最も時間をかけ、納得のいく葬儀社を選ぶことを忘れないでください。

お別れの時まで時間の猶予がある方は、ネット検索ではなくご近所さんや親類に相談することをお勧めします。地域に根付いた葬儀社さんに、相談するのもいいでしょう。そのうえで比較し、納得のいく葬儀のパートナーを見つけてください。納得のできる葬儀社が決まったら、ひとまず安心です。

その後、担当者と連絡を取り合い、ご遺体のお迎え(搬送)の時間の決定~葬儀ホールの決定~葬儀内容のお見積り・日時の決定という流れになります。万が一の時に備え、あらかじめご家族の希望を伝えておくことで、慌ててしまい後悔するなどのトラブルは回避できることでしょう。

親族ならではの葬儀参列マナー

葬儀に参列する際に、親族ならではの注意点をお伝えいたします。

親族の範囲

葬儀にはたくさんのご親戚が、故人との別れをするために集まります。よく、「どこまでが親族?」と聞かれることがありますが、民法では「三親等内の姻族」と「六親等内の血族」「配偶者」とされております。

しかしながら、それぞれの家族の在り方がありますので、ご家族で判断されることが一番重要ではないでしょうか?

小さな子供が参列する場合のアドバイス

葬儀にはたくさんの親族が集まるため、小さなお子様も参列されることがあります。お子様にとって、一時間近くの読経は退屈でつらい時間でしょう。

たまにぐずる子を無理に式場内であやしている姿も見受けますが、あくまでも葬儀は儀式であり厳粛に執り行わなければなりません。

そのようなときはどうぞ、無理に式場内におらず、自由にさせてあげてください。お焼香のタイミングで、式場内にお戻りいただきましたら十分です。

親族の服装

近親者のみで葬儀を行うことが多くなった昨今では、参列者の服装にも少し変化が出てきました。一昔前なら、喪主が男性ならモーニングや袴など着用し、喪主のご家族の女性は着物を着ていました。

現在は、男性ですと略礼服が主流であり、女性ですと黒の洋服でしたら特に定めはありません。なお、お通夜は礼服でなくてもいいと言われております。なぜなら、お通夜は急な知らせが多く、仕事場や出先から駆け付けることになり準備する時間を考慮し、できるだけベーシックな服装でよいとされているからです。

アクセサリーやお化粧・ネイルなどいくらベーシックであってもやはり目立つものは避けるべきでしょう。あくまでも故人を送る大切な儀式であるので、自己を主張する必要はありません。髪型も特に決まりはありませんが、「TPO」をわきまえ厳かに参列していただきますようお願いいたします。

親族の香典

最近、お香典のご辞退をよく目や耳にいたします。主流になった「家族葬」の流れから、香典のお返しが面倒との理由からご辞退が多く見受けられるようになりました。

元来、お香典のご辞退は会社の葬儀いわゆる社葬であったり、お店をされている店主の葬儀の場合に使われておりました。諸説ありますが、仕事上の関係者に先代の御礼と主が代わる挨拶を兼ねているので、香典辞退をしていたそうです。

お香典は参列される方の気持ちであるので無理にご辞退される風潮に、個人的には少し疑問を持っております。お返しが欲しくてお世話になった人にお香典を持っていくのでしょうか? などと考えてしまいます。香典返しは最近「半返し」などとの言葉もありますが、それは返礼品の業者さんが作ったキャッチコピーのように感じます。実際には3割返しくらいが一番多いようですし、お返しとしてはそれで十分でしょう。

友人や関係者の方は辞退し、親族からはいただくというケースはよく見受けます。親族同士では今まで香典を出しあってきたのに、「急に辞退をされた」という相談をされることが多々あります。故人のためにも、親族がお香典をお持ちになられたときは快くお受けするのも礼儀の一つではないでしょうか? 

香典の具体的な相場は、

「親の場合」:10万円
「兄弟の場合」:5万円
「その他親類の場合」:1万円
「同僚・友人の場合」:5千円

が目安になります。

代表的なお悔やみの言葉

悲しみの中にいるご家族に、どうやって気持ちを伝えればよいのか、いざとなるとなかなか整理がつかないものです。最も多くイメージされるのが「ご愁傷様です」ではないでしょうか。しかし、その意味まで理解されて使用している方はどのくらいおられるのでしょうか? 意味合いとしては「気の毒に思っています」ということ。

私自身、数々の葬儀に立ち会ってきましたが、お悔やみの言葉は、やはり自分の言葉でいいと思います。

「頑張って、元気出して」でも、「一日〇〇さんのこと偲んで楽しかった時を思い出します」でも、ご家族に故人と自身の関係を、そしてお悔やみを伝えることが一番重要です。あくまでもその中の一つに代表的な言葉の「ご愁傷さまです」があるのです。

自身のお別れの言葉をかけてあげることが、ご家族の癒しになり故人への弔いの言葉になるのではないのでしょうか?

まとめ

地域や慣習で一つの文化として厳かに執り行われてきた葬送という儀式も、少子高齢化と核家族化が進んでいる現代は新しい「形」に変化していると日々感じます。しかしながら、変化をしていても葬儀は簡単ではありませんし、面倒だと片づけられない大切なものが詰まっております。

大事なのは心であり見栄えではありません。自分の大切な人を送るまたは送ってもらう時、どのような儀式がいいでしょう? 皆が優しく微笑んでゆっくりと時間を過ごせるような葬儀を家族が主として進めることができれば、故人も納得して旅立てるのではないでしょうか。

●執筆/阿部 雅(京都日葬・https://kyoto-nissou.com
「毎日のことから万一のことまで」地域を支える京都日葬グループ
不安から安心へ~をモットーに、様々なご相談にお応えしている。変化していく宗教観、家族観の中で弊社ができることは何か? なんでも相談できる集団であり続けることが、お客様の不安を安心に変えられる一番の方法だということを実感し、独自の京都日葬グループを確立。

●構成・編集/京都メディアライン(https://kyotomedialine.com FB

 

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