近年、注目を集めている「昭和レトロ」。昨年リニューアルオープンした「西武園ゆうえんち」が1960年代の商店街を再現して好評を集め、NHKの朝ドラで昭和文化が話題になるなど、昭和30~40年代のノスタルジックな雰囲気や、アナログなデザイン・ファッションがZ世代と呼ばれる若者たちの間でも再評価されています。
そんな昭和レトロブームの波が、小学生向け雑誌の「ふろく」にも押し寄せていることをご存知でしょうか。おなじみの小学館の学年誌『小学一年生』では、かつての定番だった日光写真や、懐かしの駄菓子を題材にした組み立てふろくが子どもたちの注目を集めているのです。
創業から学年誌とともに歩んできた小学館は、2022年に100周年を迎えます。移り変わる世相を反映しながら、大正、昭和、平成、令和と、4つの時代をこえて小学生の好奇心を育んできたふろくたち。その歴史を振り返ってみましょう。
創刊時代から子どもたちはふろくに夢中!
小学館の学年誌は、大正11年に『小學五年生』『小學六年生』からスタート。そして、その後の3年間で『せうがく三年生』『小學四年生』『セウガク一年生』『セウガク二年生』が創刊されました。
創刊時代のふろくは、すごろくや切り抜き遊びなど、シンプルながらも遊びがいのあるものが中心でした。昭和に入ると紙製の巨大艦船などの組み立てふろくも登場。当時、ふろくは「オマケ」とも呼ばれ、全国の子どもたちを楽しませました。
その後、太平洋戦争に入ると学年誌は統合や誌名変更が行われ、ふろくが付かないこともありましたが、終戦後の昭和22年に『小學一年生』の誌名が復活。ふろくもその頃から少しずつ多様さを取り戻していきます。
高度成長期にはふろくも豪華に発展・進化
東京タワー、高速道路、新幹線といった大規模インフラの整備が進み、東京オリンピックも開催されて日本全体が活気を取り戻した昭和30年代。ベビーブームを経て学年誌も隆盛を迎え、ふろくも豪華さを増していきます。
そして昭和40年代は、アポロ11号の月面着陸や、日本万国博覧会(大阪万博)が一大トピックとなりました。カラーテレビの普及や華やかなファッションの流行など、生活を彩る文化や娯楽の広がりを学年誌は逃すことなくふろくに取り入れ、子どもたちの夢やあこがれを叶えてきたのです。
さまざまな「エンタメ」をふろくに込めて
昭和50年代から平成へ……日本は右肩上がりの成長がピークに達しバブル崩壊を迎える、変化が激しい時代へと突入します。
ピンクレディーからモーニング娘。へと変遷しながらアイドルがテレビを彩り、ファミコンの登場でコンピューターゲームがまたたく間に子どものホビーの主役に。そして平成5年のJリーグ公式戦開幕でサッカーがプロ野球にも負けない人気スポーツになるなど、エンターテインメントも次々と移り変わりました。それに応じて学年誌のふろくも、目まぐるしく変化する子どもたちの流行を逃さずに反映し続けてきました。
2000年代も、変わらぬ魅力のふろくたち
かつての学年誌で遥か未来のように描かれていた「21世紀」が到来。『ポケットモンスター』や『とっとこハム太郎』、『ムシキング』『ベイブレード』といった新たなキャラクターが加わり、ふろくの人気はますます高まりました。紙製の組み立てふろくも変わらず人気で、工夫を凝らしたユニークなものが多数送り出されています。
また、2000年代ではふろくが進化し、プラスチック製の「完成品ふろく」も登場しました。さまざまなギミックを持つリッチなふろくは、たびたびメディアをも騒がせるようになっていきます。
令和4年、最新の『小学一年生』のふろくは…?
そして今年の『小学一年生』4月号に付いてくるのは、組み立てふろくの「ポケモン りったいスライドツールBOX」と、完成品ふろく「ドラえもん きょろきょろめざましどけい」の2つです。学年誌の2大スターが共演する、超豪華ふろくとなっています。
「めざましどけい」は、音や声に反応してドラえもんが首をふりながらおしゃべりをする、優れものです。
(小学館キッズ チャンネル)
時代に合わせて進化し、100年にわたり子どもたちの心をつかみ続けてきた学年誌のふろく。これから登場する数々のふろくも、新たな学校生活に心を躍らせる「ピッカピカの一年生」たちを、きっと笑顔にしてくれるでしょう。ちょっと難しい組み立てふろくに家族で挑戦するのも、子どもたちにとって楽しい思い出になるはずです。
(取材・文/プロダクションベイジュ)