長引くコロナ禍において、以前よりも人とのつながりが感じられず、ひとりでいることの孤独感を感じている方、漠然とした不安に苦しみ、平穏な心を取り戻したいと思っている方が増えているのではないでしょうか?
そこで、チャンネル登録者数42万人の大人気YouTube人生相談『大愚和尚の一問一答』で、人々の不安の声に答えている大愚元勝さんの著書『ひとりの「さみしさ」とうまくやる本』から、孤独との付き合い方についてご紹介します。
文/大愚元勝
孤独感を手放すための4つのステップ
私達の人生にはもれなく八つの苦しみがついてきます。誰の人生も一難去ってまた一難。人生の本質は「苦」の連続なのだといえるのです。
けれどお釈迦様は、どうすれば苦しみを手放すことができるのかについても説いてくださっています。「四諦」と呼ばれる真理がそれです。
「四諦(したい)」とは、「苦諦(くたい)」「集諦(じったい)」「滅諦(めったい)」「道諦(どうたい)」という四つの諦めのこと。「諦める」というと後ろ向きなイメージですが、諦めるは「明らめる」の意味で、つまり「物事を明らかにする」「真理に達する」ことに通じています。
苦諦とは、人生に苦しみはつきものだと受け入れること。
集諦とは、苦しみの原因は迷いの心の集積であると知ること。
滅諦とは、苦しみを滅することができるのだと知ること。
道諦とは、苦しみを手放すための具体的な方法があると知ること。
つまり「四諦」とは、闇雲に苦しむなという教え。現状を受け入れる→原因を探る→目標を掲げる→具体的な方法を考えるという、人が苦しみを手放すための4つのステップを示しているのです。
ちなみに「道諦」にある正しい生き方とは「八正道(はっしょうどう)」と呼ばれる教えです。
正見(しょうけん)=正しい見解を持つ。
正思(しょうし)=正しい考えを持つ。
正語(しょうご)=正しく語る。
正行(しょうぎょう)=正しい行いをする。
正命(しょうみょう)=正しい生活をする。
正精進(しょうしょうじん)=正しく精進する。
正念(しょうねん)=正しく念ずる。
正定(しょうじょう)=正しい決断をする。
お釈迦様は八正道を実践することで、苦しみを退治することができると説いておられます。あなたにとって孤独が苦しみでしかないとしたら、それもまた八正道をもってすれば解決することができるのです。
ただし、たちどころに孤独が消えるというわけではありません。
まずは孤独と徹底的に向き合うことです。
なぜこんなに孤独なのか?
自分はどうなりたいのか?
孤独だからと心を閉ざしたままでいいのか?
強さを備えるべきではないのか?
そのためには、きちんと食べ、十分に寝るといった規則正しい生活を心がけるべきではないのか? と。
徹底的に孤独と向き合えば、自分の弱さやずるさが浮き彫りになってきます。あなたが改善すべきことが見えてきます。そのときあなたは、孤独だと嘆きながら、その実、孤独に逃げ込んでいた自分に気づくことでしょう。
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『ひとりの「さみしさ」とうまくやる本』 大愚元勝 著
(興陽館)
大愚元勝(たいぐ・げんしょう)
慈光グループ会長。駒澤大学、曹洞宗大本山総持寺を経て、愛知学院大学大学院文学修士号を取得。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。佛心宗大叢山福厳寺住職。僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と6つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。平成27年に福厳寺31代住職に就任。福厳寺興隆と寺町づくりに尽力する傍ら、佛心僧学院、講演、執筆、Webサイトなどを通じ、仏教に学ぶ「生き方」を、独自の切り口でわかりやすく人々に伝えている。「心が軽くなった」「生きるのがラクになった」と大評判の超人気YouTube人生相談「大愚和尚の一問一答」はチャンネル登録者数42万人を超える(2022年2月現在)。