メディアから流れる報道からは、まだまだコロナに関する話題が消えず、先行きの不透明さが拭えない昨今。気が滅入ってしまう方が多いのも頷けます。感染対策のために距離感を保つことは大事だと思う反面、人の温もりにふれる機会が減った寂しさを、誰もが痛感しているのが現状です。
そこで、株式会社ビースタイル ホールディングス(https://www.bstylegroup.co.jp)が運営する「しゅふJOB総研」が、「孤独感」をテーマに主婦・主夫層にアンケート調査を行いました。専門家による解説と合わせてご報告します。
ご自身や、周りの家族に孤独を感じている方はいらっしゃらないでしょうか。胸の内を理解して、心を癒すための参考までにご一読ください。
コロナ禍で感じる孤独感
「コロナ禍以降、あなたの孤独感に変化はありましたか」と尋ねたところ、得られた回答がこちらです。
約3分の1にあたる33.7%が「孤独を感じることが多くなった」と回答しました。「孤独を感じることが少なくなった」と回答した人は8.8%にとどまり、その差は4倍近くもあります。
一人暮らしの方の割合は
参考までに、先の質問の内訳を「主婦または主夫層」と、「一人暮らし層」で比較したグラフがこちらです。
サンプルサイズが小さいため参考値ではあるものの、一人暮らしをしている人で「孤独を感じることが多くなった」と回答した人は37.8%。夫や子どもたちなどと共に暮らす主婦・主夫層より4.1ポイント高くはなっているものの大きな差とまでは言えません。同居人の有無にかかわらず、孤独を感じることが多くなった人が、一定の割合で存在している様子が伺えます。
孤独を感じることが多くなった理由
続いての質問では、「孤独を感じることが多くなった」と回答した人にその理由を尋ねました。
「私生活において人との交流が減った」と回答した人が最も多く9割近くに及びました。次いで多かったのが、「ストレスで気持ちが不安定になった」と回答した人で6割を超えています。
孤独に関する実際の声
フリーコメントとして寄せられた回答をご紹介します。
「孤独を感じることが多くなった」と回答した人のコメント
・オンライン生活をしてみて、改めて直接人と会って会話をしたり食事をしたりする時間を大切に感じています。在宅生活は運動不足にもなりますし、人と会えない分、孤独を感じてしまいます。人との直接交流が持てないのは、長く続けられないライフスタイルです(40代:今は働いていない)
・顔を見て会話することが激減し、意思の疎通が難しかった。LINEの既読スルーや、反応が無いことや遅いことに、コロナ禍前以上に怯える事もあった(50代:パート/アルバイト)
・友達とも会う機会が減り、連絡も取らなくなったので友達が減った(30代:派遣社員)
・精神的に追い詰められて、身内にも相談できず、自殺する事も考えるようになった(50代:パート/アルバイト)
「孤独を感じることが少なくなった」と回答した人のコメント
・娘と話をする機会が増えた(50代:派遣社員)
・家族が家にいるのでそれはそれで大変(40代:フリー/自営業)
・もともとワンオペ育児専業主婦だったので、コロナ禍によってオンラインイベントが充実し、かえって孤独感がなくなりました(30代:今は働いていない)
・必要のない孤独感を、コロナ禍前は感じていたと思う。誰それはこんなすごいイベントに参加したとか、サークル活動が活発だとか、豪華なホームパーティーなど。比べることが少なくなったので、楽(30代:正社員)
・元々、孤独が好きなところがあり、コロナ禍以前は、人づきあいで疲れ切ってしまう事が多々あったが、コロナのおかげで自分と向き合う時間をたくさん取れたので、自分を取り戻せた(50代:その他の働き方)
「変わらない」と回答した人のコメント
・コロナ禍で確かに人とは会わなくなったけど、会いたい人とはビデオ通話などで連絡も取り合うし、特に孤独は感じない。その人の感じ方次第。煩わしい飲み会やなどが減って自分にはちょうどよい(40代:パート/アルバイト)
・コロナ禍で会えない人たちが多いけど、子育てが大変でそれどころじゃない(30代:パート/アルバイト)
・うちの家族は、私も含めてコロナ禍でも全く変わらない勤務をしていたのでわかりません(60代:今は働いていない)
・SNSで様子がわかる。近所の人となら、スーパーなどで立ち話もできる(50代:パート/アルバイト)
・主人がほとんど在宅、自室があるのにリビングを職場代わりにされ孤独になりたいと毎日思った(50代:パート/アルバイト)
孤独は外からは見えない、意識的な声がけを
コロナ禍によって、三密回避や外出自粛を余儀なくされ、人と人とが直接対面する場が持ちづらくなっています。
孤独の感じ方は人により個人差がありますが、「友達が減った」「自殺する事も考えるようになった」など、心に大きな負担がかかっている人からの声も寄せられた一方、SNSの存在によって孤独感が緩和されているとする声も見られました。
孤独感は外からは見えません。家族や友人、同僚など、私たちの身近にも孤独をより強く感じている人がいる可能性があります。コロナ禍の脅威が消えない中、意識的な声がけや心配りなど、互いの存在を気にかける姿勢が、より一層大切になってきているのだと思います。
川上敬太郎
しゅふJOB総研 研究顧問 1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業管理職、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼編集委員などを経て、2010年に株式会社ビースタイル(当時)入社。翌年、調査機関『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げ所長就任。
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コロナ禍により、人との交流が極端に減る状況に翻弄される中、戸惑う方も含め、率直な声をうかがうことができました。1人の良さを感じたという意見がある一方で、人との触れ合いを痛切に求めている方も見られました。人との接触の減少を解放感と捉えるか、孤独感と捉えるかは人それぞれ違うようです。あなたの身近にいる方は、どう感じているでしょうか。声をかけて尋ねてみると、お互いの理解がより深まるかもしれません。
■調査概要
調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
有効回答者数:513名(※)
調査実施日:2022年1月12日(水)~2022年1月19日(水)まで
調査対象者:ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者
※調査対象者のうち、家周りの仕事について「同居家族はいるが主に自分が担当」または「同居家族と自分で概ね平等に担当 」のいずれかを選択した人のみを抽出して集計。