取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った香織さん(仮名・39歳)は36歳のときに12年間付き合った男性と結婚して、現在は二人暮らしをしています。香織さんは大阪府出身で、両親との3人家族。ケンカを繰り返す両親の関係を見続けたことで結婚願望は皆無。結婚は女性だけが損をする制度という認識を持っていました。世間的に結婚適齢期という年齢に差し掛かったときには当時は彼氏だった現旦那さまは結婚しないという選択を尊重してくれたそうですが、自身の父親はもちろん、義両親も認めてくれなかったと言います。
「父親からは『このままだと行き遅れと呼ばれる』『親族に不名誉な記録が残る』と散々毒を吐かれましたが、母親はこっそり『好きにすればいい』と言ってくれました。母も結婚したことを後悔していたのかもしれませんね。何を言われても私の両親なら無視すればいいのですが、義両親になると邪険にはできません。何度も説得を受けて、最後は義父の病をきっかけにとりあえず籍だけは入れたのですが……」
結婚を切望していたのは義父ではなく義母?
義父の病気は胃がん。手術で胃の2/3ほどを切除することになり、約1年半後に再発してしまい、亡くなってしまいます。結婚は義父のためにという名目だったそうですが、手術後の義父は息子夫婦に目もくれなかったそう。
「病気がわかってから気落ちしたのか、以前のような強気で明るい印象はなく、物静かな人になってしまっていました。退院後は仕事も辞めて自宅療養となり、そこで入籍したことを報告したのですが、『よかったね』とまるで他人事のようで。そのときに義母が病気を理由にしただけで義父はそれどころじゃなかったのかもしれません。そのことを聞く機会もなくなってしまったんですが」
義母だけの意思だと思ってしまうには他にも理由があったと言います。
「入籍した途端に義母は家によく私たちを招くようになりました。夫は一人っ子なんですが、義母には未婚の姉と結婚して子どもがいる妹がいて、その親族たちに私たちを頻繁に会わすようになったのです。義父のことをそっちのけで。義父から、新たな居場所を作ろうと必死な感じがしました」
【自分のわがままで夫を板挟みにしてしまった。次ページに続きます】