アジアで唯一ゴッホの《ひまわり》を見ることができる美術品、SOMPO美術館は創立の協力者であった東郷青児の芸術理念と作品を核としています。
今回、同館所蔵の東郷青児作品を「旅」をテーマに一挙に展観する展覧会が開かれています。 (2021年1月24日まで)

東郷青児《赤いベルト》
1953年 油彩・キャンヴァス SOMPO美術館蔵
(C)Sompo Museum of Art, 20017

本展では、東郷青児作品約140点に併せて、特別展示のゴッホ《ひまわり》、ゴーギャン《アリスカンの並木道、アルル》、セザンヌ《りんごとナプキン》、グランマ・モーゼスも展観します。           

東郷青児《ヴァンスの女》
1972年 水彩・コンテ・紙 SOMPO美術館蔵
(C)Sompo Museum of Art, 20017

本展のみどころを、SOMPO美術館の学芸員、岡坂桜子さんにうかがいました。

「モダンな美人画で知られる洋画家・東郷青児(1897-1978)は、24歳から7年間をフランスで暮らし、63歳以降は毎年のように海外を旅してまわりました。

東郷青児《スペインの女優》
1922年 油彩・キャンヴァス SOMPO美術館蔵
(C)Sompo Museum of Art, 20017

留学時代の若き東郷は、詩人マリネッティや画家ピカソらと交流するなかで、表現主義や未来派、キュビスムなど西欧の前衛絵画に基づく自身の様式を模索し、また戦後の二科会会長時代には、海外美術団体との交流活動と並行して、サハラ砂漠や南米など各国へ足を延ばしています。

東郷青児《タッシリの男》
1976年 コンテ・水彩・紙 SOMPO美術館蔵
(C)Sompo Museum of Art, 20017

本展は、そうした東郷の『旅』を切り口に、これまで展示する機会の少なかった収蔵品約140点を通じて、生涯、異国に興味を抱き続けた画家の足跡を辿るものです。
6章構成の展示では、お馴染みの『青児美人』だけではなく、旅先の風景・風俗・人々を捉えた素描群、本の装丁などのデザイン、晩年の彫刻、自身が蒐集した宗教彫刻や外国人作家の作品も紹介。また旅行鞄や画材類など東郷愛用の私物もあわせて展示しています。

東郷青児《南仏風景》
1922年 油彩・キャンヴァス
SOMPO美術館蔵(寄託:一般財団法人 陽山美術館)
(C)Sompo Museum of Art, 20017

東郷の旅の足跡と記憶を当館秘蔵の作品・資料によって辿る、まさに“蔵出し展”となっています。」

美人画の巨匠、東郷青児の足跡の全貌がわかる展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
東郷青児 蔵出しコレクション~異国の旅と記憶~
会期:2020年11月11日(水)~2021年1月24日(日)
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時から18時まで
     ※事前に美術館ホームページ日時指定のオンラインチケットをご購入ください。
休館日:月曜日(ただし1月11日は開館)、年末年始(12月28日~1月4日)
美術館HP:https://www.sompo-museum.org
料金:HP参照
アクセス:HP参照

取材・文/池田充枝

 

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