組子細工は、小さく切り出した木片を釘などを使わずに組み合わせて、美しい幾何学模様を作り出す日本伝統の工芸技術である。その歴史は飛鳥時代まで溯り、日本最古の木造建造物・法隆寺にも、手すりの装飾として見ることができる。薄い木片に入れた切り目をかみ合わせて模様を生み出す細工には、寸分の誤差も許されず、集中力と根気が必須となる。
福を呼ぶ組子アート
そんな組子細工に魅了され、平成27年から鑑賞用の組子作品を制作しているのが、宿毛市にある工務店「濱中建築」の2代目・濱中伸也さん(41歳)だ。平成19年、7年間の修業を経てひとり立ちする際、ほかの職人とは一線を画す個性を持ちたいと思った。ある日、インターネットで知った組子細工に興味を抱き、試しに制作してみたところ、その美しさと奥深さにほれ込んだという。以来、8年の歳月をかけ、独学で研鑽を積み、「組子アート」と称する独特の作品を生み出している。
高度な技を駆使して、曲線も取り入れた濱中さんの作品はじつに立体的。観る角度によって趣が異なり、観ていて飽きない。ここでは、濱中さんが得意とする日本伝統の吉祥文様をモチーフにした2作品を紹介したい。両作品の部材には、高知県産の銘木・幡多ヒノキや嶺北杉などが使われている。
「扇子と蝶」には末広がりと立身出世などの願いが、「束ね熨斗」には祝福や人との絆、長寿などの願いが込められている。どちらも濱中さんが丹精を込めて仕上げた入手困難な稀少品。ぜひ、この機会にお求めいただきたい。
【今日の逸品】
組子細工の壁掛け
濱中建築
437,800円~(消費税込み)