取材・文/ふじのあやこ

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

 「自分がされたような娘2人のどちらかを優先するなど絶対にしたくない。それなのに、長女のことのほうがかわいいと思ってしまう自分がいて……」と語るのは、春美さん(仮名・40歳)。現在は2歳差の娘さん2人を持つ母親で、旦那さまと4人、都内で暮らしています。

勉強にとにかくうるさかった母親。兄妹の中で過干渉の標的が移っていった

春美さんは千葉県出身で、両親と5歳上に兄、2歳下に妹のいる5人家族。父親はサラリーマン、母親は専業主婦という家庭で育ち、母親は小さい頃から勉強にうるさく、干渉されていたと言います。

「母親は勉強にうるさくて、学校で何を勉強していたのかを書いて母親に提出するノートがありました。詳しく書く必要はなくて、教科書の何ページと何についてかの箇条書きぐらいで良くて、授業が終わる度にそのノートに書き込んでいた記憶があります。それはもちろん私だけでなく兄や妹もです。クラスの友達に親にそんなものを提出しないといけないことがバレるのが怖くて、授業終わりにサラッとバレないように書くことが、小学6年生の頃にはとてもうまくなっていましたね(苦笑)」

母親の干渉は兄妹の中でもレベルがあり、年齢とともにそれは変わっていったとのこと。

「小さい頃の成績は私が兄妹の中で一番良かったこともあり、母は私を一番干渉していました。兄は母親が期待していた高校を目指すことさえできなくて、そこからは私たち姉妹に母親の興味が移った感じです。

兄は高校に入ってからは何でも許されるようになって、羨ましいと思った時期もあったけど、兄の立場を想像したら辛かったんじゃないかな。母親は『男の子だから』という言葉を使って自由にさせているように振る舞ってはいましたが、私から見ると飽きた、諦めたというように映っていたから。

私は母親の希望する高校に入って、都内にある有名私大にも無事合格できたんです。でも、大学合格と同時に、母親の興味は私から妹に移りました」

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