清流とバイカモ 撮影/市川 傳 24~105mmズームレンズ・絞り f10 ・ シャッター 1/8

清流とバイカモ 撮影/市川 傳(24~105mmズームレンズ・絞り f10 ・ シャッター 1/8)

滋賀県米原市の醒井(さめがい)は、中山道第61番目の宿場町として栄えた地です。古代から交通の要衝であり、豊富な湧き水があったことで知られています。

記紀にも登場する加茂神社の湧水「居醒の清水(いさめのしみず)」は現在もこんこんと湧き続け、環境省の『平成の名水百選』にも選ばれています。この清水を源流とする地蔵川に沿って、今も落ち着いた宿場町の風情が遺されています。

地蔵川には、滋賀県と岐阜県にしか棲息しないという「ハリヨ」という貴重な淡水魚が泳ぎ、キンポウゲ科の「バイカモ」(梅花藻)が水の流れの間から小さな花をのぞかせています。

水温は年間を通しても平均14度ほど。バイカモは冷たい流れのある川で群生する水草で、春から秋にかけて白梅に似た花を咲かせます。見頃は7月中旬~8月で、地蔵川では、今年は最盛期の7月23日(土)~8月7日(日)の夜7時30分から1時間、ライトアップが行われます。

バイカモの撮影は、地蔵川に架かる小さな橋の上からと、清水を利用するために設けられた川に続く階段から行います。時間帯は10時~12時頃がベストです。光線もちょうどよく、川の水量も少ないような気がします。水量が多くなるとバイカモが水の中に沈んでしまいますし、さらに水の中で反射してしまい、撮りづらくなります。ですので大雨が降った翌日などは避けたほうがいいでしょう。

川の中にポンポンと群落があるので、ちょうど撮影しやすい群落を選びます。場所柄、あまりローアングルで撮影ができないので難しいのですが、水の流れも緩やかなのでシャッタースピードも普通で撮影しています。

花のアップ 撮影/市川 傳(180mmマクロレンズ ・ 絞り f3.5 ・ シャッター 1/200)

花のアップ 撮影/市川 傳(180mmマクロレンズ ・ 絞り f3.5 ・ シャッター 1/200)

花のアップの写真は、百日紅の赤い花びらがちょうど水面に漂い、いいアクセントになりました。偶然の産物ですが、粘って撮影をしているとこのようなシャッターチャンスも巡ってくるものです。

醒井は、宿場町の名残りをとどめるように、宿場をきりもりした施設「問屋場」が昔のままの姿で残りますし、川で西瓜を冷やす地元の方々の姿もあります。そんな長閑な風景も写真に収めてみてはいかがでしょうか。

醒井宿
滋賀県米原市醒井
交通:JR醒ヶ井駅から徒歩約5分
問い合わせ:米原観光協会 電話0749-58-2227

市川 傳(いちかわ・つたえ)
1945年、東京生まれ。ヨーロッパアルプス登山を機に写真の道に入り、東京写真専門学校卒業後、建築写真を主に撮影しながら、風景写真を学ぶ。北海道から沖縄の自然を四季にわたり撮影し、カレンダー、雑誌等に写真を提供。ライフワークとして、桜・城・花のある風景を撮り続ける。公益社団法人 日本写真家協会会員。

 

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