【第2回】 高岡市~上市町
春と秋の年2回、富山県では「大人の遊び、33の富山旅。」と題して、大人の好奇心を満たす33の旅のテーマを提案しています。この特別な旅をまとめたハンドブックを携えて、2016春特別プログラムを体験してきました。その魅力を3回にわたりご紹介します。
【プログラムNo.06 高岡市 伏木ヒストリカル・トリップ】
廻船で栄えた港町・伏木で古刹・勝興寺の修復現場を見学する
高岡駅からJR氷見線で約12分、前回紹介した岩瀬(記事を読む)と同様、北前船で栄えた伏木(ふしき)に着きます。伏木は廻船問屋の豪奢な屋敷や洋風建築が並び、今も港町の面影を残し、また「北前船資料館」ではその歴史を知ることができます。伏木はもうひとつの顔を持っています。高台に立つ巨大な寺院・勝興寺(しょうこうじ)の寺内町という顔です。
寺内町は勝興寺と生計をひとつにした独特の門前集落。加賀藩から特別の待遇を受けた勝興寺は、この地の繁栄を支えました。5月15日(日)には伏木曳山祭という、華やかな祭りも開かれます。
勝興寺は戦国時代には一向一揆の拠点となり、近世では加賀藩主前田家との関係を深め、約3万㎡という広大な敷地内に本堂、大広間や台所、書院などから成る本坊、総門、唐門など、大伽藍を構えています。そして平成10年から約23か年計画で保存修理事業が行なわれ、2016年春のプログラムでは、この壮大な修復工事の様子を見学することができるのです。
お寺の方の案内で、ヘルメットをかぶり、本坊を覆う鉄筋造りの素屋根の内部へ。古い木材は再利用するために、組み立ての場所や釘の位置などを記録。屋根の杮(こけら)板は職人が一枚一枚貼り付け、台所や書院も補強し、修復が進みます。文化財を後世に残すためには、こんなにも丹念に多くの人の手が入るのかと、まさに特別な体験に目から鱗でした。
【プログラム No.15 上市町 大岩colorier(コロリエ)&ランチ】
山岳信仰で栄えた里山で心身を浄化する
立山連峰の裾野に位置する上市町(かみいちまち)は富山駅から富山地方鉄道で約25分。清冽な水と豊かな森に恵まれる里山です。近年は、その環境が愛され、『剣岳 点の記』『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』『おおかみこどもの雨と雪』といった映画作品の舞台モデルになっています。
上市町にある大岩山 日石寺(おおいわさん にっせきじ)は、奈良時代の名僧・行基(ぎょうき)が開いたと伝えられる古刹です。剱・立山の山岳信仰の一端として栄えましたが、戦国時代に兵火のため衰退。その後、加賀藩主前田家の祈願所として再興された歴史をもちます。本堂には、行基が一夜で彫り上げたという不動明王磨崖仏(ふどうみょうおうまがいぶつ)があり、凝灰岩の一面に、その姿が浮き上がって見えます。大きさは約3.2m、両目をかっと見開き迫力と美しさを漂わせています。
さらに県内最古の木造の三重塔、滝行が行なわれる六本滝、巨岩と清水の渓谷などがあり、今回訪ねた時はまだ雪が残り、あたり一帯には神聖な雰囲気が満ちていました。
こちらでの体験プログラムの内容は、コロリエとランチ。コロリエとはフランス語で「彩色する」を意味する言葉で、散策中に出合った風景をもとに下絵(線画)を選び、そこに色を付けていきます。門前街にある創業120年という『旅館 だんごや』で、まずは、コロリエ体験です。用意されている、はがきサイズの下絵に色鉛筆で色を重ねていきます。今見た風景を、記憶を頼りに、あるいはまったく自由に塗り絵をします。心静かに無心になっていく時間。日常を離れたすがすがしい体験が味わえます。
次はお待ちかねのランチです。名物の大岩そうめんや、山菜の天ぷら、胡麻豆腐など、心のみならず体もすっきりできる滋味深いご馳走でした。
「大人の遊び、33の富山旅。」春の特別プログラムをまとめた旅のハンドブックは、都営線(都内10駅)及び浅草文化観光センターなど、首都圏・関西・東海・北陸などで無料配布しています(ハンドブックの設置場所はこちら)。また、このプログラムを体験した方の中から抽選で33名に高岡クラフトや富山の地酒など、富山の優れた品々が当たるプレゼントキャンペーンも実施しています(体験期間は5月31日まで)。
33富山旅のサイトはこちら