取材・文/末原美裕

世界遺産「富士山」が深く心に響く、「構成資産」二選
信仰の対象と芸術の源泉として世界文化遺産に選ばれた、日本人が誇る富士山。
富士山は富士山だけで世界遺産に選ばれたのではなく、富士山と一体となる価値を持った25箇所の構成資産とともに選ばれました。それぞれの場所が長い歴史を持ち、神聖な場所。構成資産から望む富士山はその背景を含めて心に感動を呼びます。選り抜きの二つの構成資産から富士山を感じに行きませんか?

■富士山本宮浅間大社から望む、神聖な富士山

富士山本宮浅間大社

平安時代まで頻繁に噴火を繰り返していた富士山を鎮めるために建てられた、富士山本宮浅間大社。富士山信仰の広まりと共に全国に祀られた1300余の浅間神社の総本宮と称されています。富士山の頂は浅間大神の御神域として尊ばれ、噴火が収まるに従って、富士山への敬慕の念が富士登山という形に変化していったそうです。
鳥居をくぐり、富士山本宮浅間大社の境内から望む富士山はいつにも増して神性を感じます。

富士山本宮浅間大社

806年に現在の地に社殿が造営されました。「湧玉池」から富士山の御神水が沸いていたので、最もふさわしい地だから選ばれたのではないかと言われています。

今も富士山の御神水がこんこんと湧き出ています。ありがたくいただきましょう。

今も富士山の御神水がこんこんと湧き出ています。ありがたくいただきましょう。

 

静岡県富士山世界遺産センター

富士山本宮浅間大社の鳥居に接して建てられた「静岡県富士山世界遺産センター」も必見です。建築家の坂茂氏設計の同センターの外観は逆さ富士をイメージしており、8000ピースものヒノキが組み合わさった様は壮観です。展示棟の中はらせんスロープになっていて、壁面に投影される映像を楽しみながら富士登山の疑似体験ができます。富士山への畏敬の念がさらに増しますよ。

■三保松原から望む、浮世絵のような和の富士山

(静岡市提供)

(静岡市提供)

青く広がる駿河湾、力強い緑の松原、そして富士山。海、松原、富士山と三拍子揃ったこの地は、万葉歌人に詠歌され、歌川広重の浮世絵の題材にもなっており、今もなお日本人の心のふるさとを優しく呼び覚ましてくれる場所です。
三保松原は富士山から45キロメートル離れていたため、構成資産に登録できるかどうか最後までやきもきさせた場所でしたが、日本側の説得が実り、登録された最後の場所でもあります。いにしえより富士山とともに深く愛でられてきたこの地を外すことはできないですよね。

静岡市三保松原文化創造センター

3月30日には「静岡市三保松原文化創造センター」が開館され、三保松原と富士山の歴史や成り立ちがよりダイレクトに伝わってくる場所になっています。

静岡市三保松原文化創造センター

静岡市三保松原文化創造センターの屋上からの富士山。松とのコントラストが粋です。

静岡市三保松原文化創造センターの屋上からの富士山。松とのコントラストが粋です。

三保松原からの富士山を愉しんだら、ぜひ天女が羽衣をかけたとされる「羽衣の松」や500メートルの松並木である「神の道」を経て、御穂神社まで足を伸ばしてみてください。樹齢200年以上にもなるといわれている老松の間を歩くと、その豊かさに心が澄んでいくのがわかりますよ。

「神の道」は松の保全のため、ボードウォークになっています。

「神の道」は松の保全のため、ボードウォークになっています。

■(番外編)明治日本の産業革命遺産・韮山反射炉から望む、ロマン溢れる富士山

「韮山反射炉」からの富士山

番外編として、構成資産ではないのですが、「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界文化遺産登録された、「韮山反射炉」からの富士山もご紹介します。

韮山反射炉は1857年に竣工し、鉄製大砲を鋳造していました。1840年のアヘン戦争を契機に、日本も列強諸国に対抗するために軍事力が必要となったからです。計画を推進した江川英龍は完成を見ることなく亡くなってしまいましたが、跡を引き継いだ息子の英敏がしっかりと仕上げました。炉体と煙突が完全な形で現存している、世界で唯一の産業遺産です。
世界に肩を並べ、そして日本を守るために造られた韮山反射炉越しに望む富士山はロマンを感じます。

現状、崩れている煉瓦は竣工当時のもの。当時の面影を感じられます。

現状、崩れている煉瓦は竣工当時のもの。当時の面影を感じられます。

脈々と続いてきた、富士山と日本人の関係は、未来へと繋がっていくのでしょう。今、この時に感じる富士山を心に残していきたいですね。

■富士山本宮浅間大社

開門時間:5:30~19:30(3・10月)、5:00〜20:00(4〜9月)、6:00〜19:00(11〜2月)
住所:富士宮市宮町1-1
アクセス:JR身延線「富士宮」下車、徒歩10分
http://fuji-hongu.or.jp/sengen/

■静岡県富士山世界遺産センター

開館時間: 9:00〜17:00(通常)、9:00~18:00(7・8月)※最終入館は、閉館の30分前
住所:静岡県富士宮市宮町5-12
アクセス:JR身延線「富士宮」下車、徒歩8分
https://mtfuji-whc.jp

■静岡市三保松原文化創造センター

営業時間:9:00〜16:30(年中無休)
住所:静岡市清水区三保1338-45
アクセス:JR「清水」下車、三保方面行バスで約25分「三保松原入口」下車、徒歩15分
観覧料:無料
https://miho-no-matsubara.jp

■韮山反射炉

営業時間:9:00ー17:00(4〜9月)、9:00〜16:30(10〜3月)
住所:伊豆の国市中字鳴滝入268-1
アクセス:伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡」下車、タクシー約5分
観覧料:大人500円
https://www.city.izunokuni.shizuoka.jp/bunka_bunkazai/manabi/bunkazai/hansyaro/

静岡デスティネーションキャンペーン特設サイト:

http://hellonavi.jp/dc/index.html

お得なフリーきっぷ:

https://japan-highlightstravel.com/jp/traveling_shizuoka/plan/#set_tab1_1

観光列車:

https://japan-highlightstravel.com/jp/traveling_shizuoka/plan/#set_tab4_1

Japan Highlights Travel静岡特集ページ:

https://japan-highlightstravel.com/jp/traveling_shizuoka/

取材・文/末原美裕
小学館を経て、フリーの編集者・ライター・Webディレクターに。2014年、文化と自然豊かな京都に移住。

 

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