取材・文/末原美裕

うなぎパイの製作風景

子どもの頃の社会科見学は何もかもが新鮮な光景でしたが、道理の分かった大人だからこそ、より深く楽しめる社会見学があります。静岡県で楽しめる体験のうち4つを厳選してご紹介いたします。

ヤマハのDNAを見る・聴く・触れる、ヤマハ(株)企業ミュージアムイノベーションロード

ヤマハ(株)企業ミュージアムイノベーションロード

2018年に浜松市に誕生した「ヤマハ(株)企業ミュージアムイノベーションロード」(予約制)は、創業130年に渡る挑戦の軌跡とヤマハの「今」そして「これから」を感じられるミュージアムです。創業者である山葉寅楠氏が手がけた貴重なオルガンやピアノを見ることができます。

創業当時に作られたオルガン。

また、楽器展示エリアでは、ヤマハピアノの最高峰でコンサートホールや国際的なコンクールでも使用されているCFX(コンサートグランドピアノ)1900万円(税抜)やグスタフ・クリムトへのオマージュとして世界で25台限定で製造されたベーゼンドルファーが飾られており、来場者は誰でも自由に弾くことができます。

「これほど多くの種類の楽器に触れられる場所は他にないのではないでしょうか。実際の感触を確かめながら、本物の音を感じてみてください」とヤマハイノベーションロードの奥村暢朗館長。

ベーゼンドルファーの職人たちがピアノの屋根の内側に原画の繊細な部分まで忠実に再現したもの。譜面台や脚の上部にまでも金箔がぜいたくに使われています。

ベーゼンドルファーの職人たちがピアノの屋根の内側に原画の繊細な部分まで忠実に再現したもの。譜面台や脚の上部にまでも金箔がぜいたくに使われています。

ピアノをはじめ管・弦・打楽器から電子楽器、オーディオ製品など約800点が展示されています。また、「スーパーサラウンドシアター」は立体音響技術ViReal™(バイリアル)による108.6チャンネルシアターで、220度のワイドスクリーン映像とともに体に響いてくるような音の臨場感を楽しむことができます。

他にもバーチャルステージでは、コンサート会場さながらのライブ演奏が目の前で繰り広げられます。

バーチャルステージでは、バーチャル映像と楽器の自動演奏が連動しています。

バーチャルステージでは、バーチャル映像と楽器の自動演奏が連動しています。

音・音楽を通した感性が磨かれる場所です。

天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅で列車の洗車と転車台で迫力の回転を体験!

天竜浜名湖鉄道

「天竜浜名湖鉄道」は、浜名湖の西岸と北岸を通って湖西市から掛川市までを結ぶ旧国鉄二俣線です。その天竜二俣駅では、列車の洗車機体験と転車台乗車体験(予約制)ができますよ(「洗って回って列車でGO!〜国登録有形文化財の転車台体験〜」所要時間およそ1時間15分)。早速それぞれの体験をご紹介します。

のどかなプラットフォーム。柱や桁をよく見ると、100年以上前に作られた古レールが転用されています。

のどかなプラットフォーム。柱や桁をよく見ると、100年以上前に作られた古レールが転用されています。

 

構内を走って、洗車機の中へ。巨大なブラシが列車を丸ごと洗っていきます。列車の中から洗われていく様子を見ていると、自動車の自動洗車機とはサイズ感がまったく異なる、大迫力が感じられます。

構内を走って、洗車機の中へ。巨大なブラシが列車を丸ごと洗っていきます。列車の中から洗われていく様子を見ていると、自動車の自動洗車機とはサイズ感がまったく異なる、大迫力が感じられます。

 

電車に乗ったまま、転車台の上へ移動して、回転も体験できます。モーターを使って操作台が電車の後ろから押しているため、普段の電車では感じられない滑らかな回転をしますよ。

電車に乗ったまま、転車台の上へ移動して、回転も体験できます。モーターを使って操作台が電車の後ろから押しているため、普段の電車では感じられない滑らかな回転をしますよ。

転車台は元々、蒸気機関車の方向を変えるための装置でした。近年では両方向運転できる電気・ディーゼル機関車の普及により転車台が不要となり、姿を消しつつありますが、天竜二俣駅の転車台は80年を超えた今でも車両基地を往来するために使われており、そういった意味でも貴重な存在です。

手前の転車台とともに奥にある扇形車庫も国の登録有形文化財に登録されています。

手前の転車台とともに奥にある扇形車庫も国の登録有形文化財に登録されています。

夜のお菓子「うなぎパイ」ができるまで

浜松土産の王道といえば、「春華堂うなぎパイ」。そのうなぎパイファクトリーの「窯出しうなぎパイツアー」に参加すると、焼きたての絶品「窯出しのうなぎパイミニ」がいただけます。年間70万人(2017年実績)が訪れる人気見学ツアーの特別版です。

窓越しにうなぎパイの製作風景が見られます。この工場では1日あたり20万本のうなぎパイが作られているんだとか。

窓越しにうなぎパイの製作風景が見られます。この工場では1日あたり20万本のうなぎパイが作られているんだとか。

うなぎパイにはうなぎの頭と尾からとった出汁の粉末が入っており、秘伝のたれには少量のガーリックが旨味を深めているということを改めて知りました。また、私自身は勘違いをしていたのですが、うなぎパイを“夜のお菓子”と謳う理由は「家族団らんのひと時に召し上がっていただきたい」という意味が込められているそうです。皆さんはご存知でしたか?

ファクトリーツアーの締めくくりに焼きたての「窯出しうなぎパイミニ」がいただけます。普段は食べられないあたたかなうなぎパイは柔らかな甘さが特徴です。

目の前で秘伝のたれが塗られていきます。

目の前で秘伝のたれが塗られていきます。

 

ツアーに参加すると、その他にもシフォンケーキや飲み物、お土産のうなぎパイミニもいただけます。

ツアーに参加すると、その他にもシフォンケーキや飲み物、お土産のうなぎパイミニもいただけます。

静岡といえば、茶摘み体験!

茶摘み体験

最後にご紹介する大人の社会見学は静岡ならではの茶摘み体験です。静岡県を訪れると、様々な場所で茶園が広がり、美味しいお茶がいただけます。伝統的な農法でお茶を栽培している地域は「静岡の茶草場農法」として世界農業遺産に認定されています。
今回は掛川市東山地区にある「茶文字の里東山」さんで茶摘み体験をしました。

青々と美しく、思わず見とれてしまう茶草場。遠くに見える粟ケ岳には“茶”の一文字が木で表現されています。

青々と美しく、思わず見とれてしまう茶草場。遠くに見える粟ケ岳には“茶”の一文字が木で表現されています。

茶草場農法は豊かな生物多様性を育み、環境と共に共生する伝統農法であるため、茶畑の周りにはフジタイゲキやササユリが咲き、カケガワフキバッタが跳ぶ、自然豊かなところです。

茶文字の里東山の杉山敏志さん。

茶文字の里東山の杉山敏志さん。

「新芽の付け根にある小さい葉(霜かぶり)を残し、折るようにして摘んでくださいね」と茶文字の里東山の杉山さんに教わりながら、茶の手摘みを体験しました。ぷちっと簡単に摘むことができ、摘んだ後の茎からはお茶のほのかな香りがしました。
そのまま生でも食べることができ、洗練される前の緑の味が楽しめましたよ。

4つの体験をご紹介してきましたが、いかがでしたか? 日常とは異なる場所へ足を運ぶと、大人になっても、新たな発見やきらめくような体験が待っています。気になるところから訪れてみてください。

■ヤマハ(株)イノベーションロード【要予約】
時間:9:30~17:00(受付は16:00まで)
休館日:日曜・月曜・祝休日(その他メンテナンス実施日)
住所:浜松市中区中沢町10-1
アクセス:JR浜松駅から遠州鉄道八幡駅下車すぐ
見学無料
問い合わせ先: 053-460-2010(ヤマハ(株)イノベーションロード)
https://www.yamaha.com/ja/about/innovation/
■洗って回って列車でGO!〜国登録有形文化財の転車台体験〜【要予約】
期間:土曜・日曜・祝休日、団体向けのツアーは毎日開催
時間:【午前の部】受付11:00-11:15 【午後の部】受付13:20-13:35 ※午後の部は、20名以上の団体専用
住所:浜松市天竜区二俣町阿蔵114-2
アクセス:JR浜松駅から遠州鉄道に乗り換え西鹿島駅で天竜浜名湖鉄道に乗り換え
費用:500円(1歳児未満の乳児は無料)
問い合わせ先:053-925-2276(天竜浜名湖鉄道(株)営業課)
https://www.tenhama.co.jp
■うなぎパイファクトリー「窯出しうなぎパイツアー」【要予約】
期間:2019年6月まで
営業時間:10:00〜、13:00〜、15:00〜(約60分)
住所:浜松市西区大久保町748−51
アクセス:JR浜松駅から遠州鉄道バス(大久保)下車、徒歩19分。
費用:500円
問い合わせ先:053-482-1765(うなぎパイファクトリー)
http://www.unagipai-factory.jp
■茶摘み体験【要予約】
期間: 2019年06月25日 (火)まで
営業時間:平日10:20~12:00、土日祝10:40~12:20(約100分)
住所:掛川市東山1173-2東山いっぷく処
アクセス:JR掛川駅から東山バス約35分
費用:2000円
問い合わせ先:0537-27-2266
http://www.higashiyamacha.jp/index.html

静岡デスティネーションキャンペーン特設サイト:
http://hellonavi.jp/dc/index.html
お得なフリーきっぷ:
https://japan-highlightstravel.com/jp/traveling_shizuoka/plan/#set_tab1_1
観光列車:
https://japan-highlightstravel.com/jp/traveling_shizuoka/plan/#set_tab4_1
Japan Highlights Travel静岡特集ページ:
https://japan-highlightstravel.com/jp/traveling_shizuoka/

取材・文/末原美裕
小学館を経て、フリーの編集者・ライター・Webディレクターに。2014年、文化と自然豊かな京都に移住。

 

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