長野県北部、湯田中渋温泉郷にある地獄谷温泉。地獄谷の名前の由来となった国指定天然記念物の間欠泉・地獄谷温泉大噴泉と秘湯の一軒宿、後楽館があります。
なんといっても、この温泉を世界的に有名にしているのは、「スノーモンキー」の愛称で親しまれる約200匹のニホンザルです。
後楽館の露天風呂に入る野生のサルの姿が注目され、昭和39年に地獄谷野猿公苑が整備、サル用の露天風呂が完成したのです。そして、昭和45年に温泉に入るスノーモンキーが雑誌『LIFE』で紹介され、一躍国際的なスターとなりました。
この野猿公苑を訪れる外国人の数は年々増え続け、今は入苑者の3割ほどといわれています。欧米ではサルは熱帯にすむ動物というイメージがあるとのことで、雪の降る環境、さらに温泉に入るという光景は非常に貴重とされています。
寒い日に肩を寄せ合って、気持ちよさそうに温泉に入るサルの姿は人間そっくり。ほほえましく、心和む情景です。野猿公苑は今年開苑50年を迎えます。長年人間とサルの共存に取り組んできたことが、間近でサルの見学や写真撮影が可能にしたとのこと。くれぐれも餌を与えたり、サルを威嚇しないようにしたいものです。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。