取材・文/末原美裕

日本三景の一つ、安芸の宮島と言えば、「海に浮かぶ赤い鳥居と嚴島神社」がぱっと思い出されますが、かの伊藤博文がこんな言葉を残しているのはご存知ですか?

「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」。

そう、宮島の真価は弥山(みせん)山頂からの景色にあるのです。

弥山は1200年以上もの昔から宮島のご神体として崇められてきた由緒ある山。弥山の山頂を目指しながら、宮島の深層に流れているかのようなご神気を感じに行きましょう。

宮島へと向かうフェリーから見える、弥山の姿。

弥山山頂へは、本格的な登山でも行けますが、2種類のロープウエーを乗り継ぎながら行くこともできます。見晴らしのよい日には、瀬戸内海の絶景とともに四国をも臨むことができます。

世界遺産・天然記念物に指定されている弥山原始林と瀬戸内海の上を行く、どこかのんびりとした空中散歩は格別です。

ロープウエーの終着駅、獅子岩駅からすぐのところに、獅子岩展望台があります。ここからは瀬戸内海に浮かぶ島々を思う存分見渡せます。あまり歩きたくないという方は、ここまで行って折り返しても、弥山の魅力を十分感じられるでしょう。

ここから見える島々の名前も記されているので、ひとつひとつ確認していくのも楽しい時間です。

獅子岩駅から20分ほど歩みを進めると、霊火堂(れいかどう)にたどり着きます。弘法大師が修行に使った火が、1200年以上経った今も絶えず霊火堂の中で燃え続けているという、奇跡の炎です。

広島平和記念公園の「平和の灯火」の元火にもなっているそうですよ。

この「消えずの火」は“恋人の聖地”にもなっているそう。

霊火堂からさらに10分、巨大な岩のアーチ「くぐり岩」を抜けると、ついに弥山山頂へと到着します。

自然が創り出した、ダイナミックなトンネル。

山の頂まで来ると、視界は広がり、そこでしか出会えない絶景が待っています。そして、全身でご神体・弥山に抱かれているかのような感覚になります。

それでは山頂からの眺めをご覧ください。

原始のまま存在している山々の濃密な緑のように、昔からの神々の気配がどこか感じられるような弥山。太古より神の宿る島と崇められてきた宮島。弥山に登れば、それがよくわかります。

■宮島へのアクセス
JR広島駅から山陽本線で宮島口駅まで約25分、フェリーで約10分
広島電鉄・広島駅から広電宮島口駅まで約60分、フェリーで約10分
広島港(宇品港)から宮島桟橋まで高速船で約22分

『宮島ロープウエー』
住所:広島県廿日市市宮島町紅葉谷公園
電話:0829-44-0316
http://miyajima-ropeway.info/index.html

取材・文/末原美裕

 

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