文・写真/梅本昌男(海外書き人クラブ/タイ・バンコク在住ライター)

常夏のフィリピンに欠かせないハロハロ

フィリピンの国民的デザートであるハロハロ。現地語で「混ぜこぜ」という意味で、その名前のまま、かき氷の上に果物や甘い煮豆、ゼリー、アイス、フランと呼ばれるプリンなどの具材がのっています。

1年を通じて食べられますが、特に売れるのが「夏」。常夏のフィリピンで4~6月は温度が一段と上昇し「夏(酷暑)」と呼ばれていて、人々が涼を求めてハロハロを買うのです。

当時を偲ばせるハロハロ専門店もあるフィリピンのマニラ

ハロハロの起源については諸説あります。明治末期にアジアへ出稼ぎにでていた“からゆきさん”がみつ豆屋を開いたのが始まり、同じ時期に日本人商人がモンゴ(タガログ語で小豆)というかき氷を出したの始まり、第2次世界大戦中にフィリピンに駐留していた日本軍が暮らす村のパーラーから広まったなどなど。いずれにしても日本がルーツであるという点では間違いないようです。

またハロハロに欠かせない氷。こちらは19世紀にすでにアメリカ人が製氷工場を現地で稼働していたそうです。

とはいうものの、当時、氷は高級品。1950年代に電気事情が良くなってから、ハロハロが全国的に普及し始めたということです。

日本製のかき氷機が今も活躍中
ジェイ・ガンボアさんとすべて手作りの自慢のハロハロ

マニラには当時を偲ばせるハロハロ専門店もあります。『ミルキーウエイ・カフェ』はアイスクリーム工場からスタート、自慢のアイスはもちろん素材は全て手作り。創業は1962年で、4代に渡って通う顧客もいるとか。この店の中央に鎮座するのは昔懐かしい手動式のかき氷機、日本製で数十年に渡って使い続けています。オーナー・シェフのジェイ・ガンボアさんによると、当時の店の多くがこういった日本製の物を使っていたそうです。

ボリュームたっぷりの迫力あるハロハロ

庶民派デザートであるハロハロが高級に進化したバージョンが『ザ・ペニンシュラ・マニラ』のハロハロ。アメリカのタイム誌がマニラでナンバー1と推薦しています。ホテルのロビーにあるカフェで提供されていますが、まず驚くのはそのボリューム。通常2~3人でシェアするそうです。酷暑の季節には1日に50杯以上も売れるとか。もちろん味も抜群です。

アメリカのジープを乗合タクシーへと変身させたジープニー

フィリピンはスペインやアメリカの統治時代があり、その他の国の影響も大きく受けています。このハロハロのように正に「混ぜこぜ」文化。フィリピンの人たちならではのオープンマインドさで、いろいろな国の文化を自分たちならでの形で取り入れていきました。料理がその代表ですし、アメリカ軍が払い下げたジープを乗合タクシーに利用しているジープニーもその一例といえます。

ミルキーウエイ・カフェ:https://www.cafe.milkywayrestaurant.com/index.php
ザ・ペニンシュラ・マニラ:https://www.peninsula.com/en/manila/5-star-luxury-hotel-makati

文・写真/梅本昌男(タイ・バンコク在住ライター)。タイを含めた東南アジア各国で取材、JAL機内誌アゴラなどに執筆。観光からビジネス、グルメ、エンタテインメントまで幅広く網羅する。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員。

 

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