日田杉は、江戸時代後期には銘木として知られていた。産地の日田市は大分県の北西部にあり、筑後川水系の三隈川が市内を流れる。そのため水運も盛んで、山から切り出した杉を各地に流通させやすかったこともあり、いち早く銘木として知られるようになったのだ。
こうした日田杉から地元で下駄が作られるようになったのは、天保年間(1830~44年)だったという。
「杉は、根元から1mぐらいまでは凸凹があるので、製材するときに落としてしまうんです。その落とした部分を使って下駄作りが始まりました。それは今も同じです。根元は枝がありませんから節もなく、じつは下駄に加工しやすいのです。日田には、戦後、高度経済成長期の前までは150軒ぐらい下駄屋がありましたが、今では12軒だけです」
そう語る浦塚重行さんは、古くからの下駄作りの技術を継承しながら、現代的な製品を作っている。このスリッパにも「う作り」という伝統技法を採用。これは、杉材を一度焼いてから下駄に加工するもので、木目が際立つのが特徴だ。
焦げたままでは足裏を汚してしまうので、塗装がされる。裏には滑り止めのゴムが貼られた、実用的でモダンな下駄である。
商品名/日田杉のウッドスリッパ
メーカー名/うらつか工房
価 格(消費税8%込み)/4,320円