マキリとは、アゴと呼ばれる付け根のくびれがなく、握りからすぐ先が刃になった刃物だ。
語源はアイヌ語で、小刀の意味。北海道と北日本、日本海側の港町で限定的に使われることから、北前船が運んだ文化だという見方がある。
イカ漁の出航地として知られる能登町に残る「能登マキリ」も、そんなロマンを感じさせる1本だ。
鍛えているのは、今では能登半島でも数少ない野鍛冶『ふくべ鍛冶』の干場勝治・健太朗さん親子である。
明治41年(1908)年の創業時から作り継がれているそのマキリは、土や潮の香りがしてきそうな素朴で力強い“野の業物”だ。
山がそのまま海へなだれ込んだような地形の能登半島。農林業と漁業が一体化した暮らしの中で、取り回しが軽く十分な長さもあるマキリは、魚さばきや庭仕事、山菜採りなど、幅広い作業に使える万能刃物として好まれてきた。
伝統的にマキリを使ってきた地域でも、今は地元の鍛冶職人の手で作られているものは少ない。ふくべ鍛冶の能登マキリは、地鉄部分に錆びにくい和鉄(江戸時代以前の不純物の少ない鉄)を使っているため、船上でも“赤鰯”になりにくい。ささやかな気配りであり、小さな自慢だ。
商品名/能登マキリ4.5寸
メーカー名/ふくべ鍛冶
価 格(消費税8%込み)/15,800円