バロック時代の後期、オランダ・フランドルを中心に「ダッチアンドフレミッシュ」という表現形式の花の静物画が盛んに描かれた。これは、裕福な中産階級の商人たちによりもたらされた文化で、ヴァニタス(虚栄)をテーマとし、その象徴として、折れた茎や枯れた花等が描かれる。花は生の儚さを表現し、別々にスケッチされた同じ季節に咲くことのない花々で画面が構成される。描かれる蝶や昆虫もダッチアンドフレミッシュの特徴。この「ワン・リー花瓶と花の静物」もその様式の作品。見る者に衝撃的な印象をもたらす、黒の背景と強く鮮やかな色彩の花々とのコントラスト。画面中央頂点の白いユリは、マドンナリリーといわれ、純潔・無垢を表し、聖母マリアの神聖な花として崇められる。カーネーションの近くに茶色の蝶がとまり、水仙にはミツバチ。チューリップの茎には幼虫が蠢く。広い葉の上にはトンボがとまっている。花の香りを感じ、虫たちの生命力も表現されたエキゾチックな作品には、描かれた植物のそれぞれの花言葉や神話に残されるように、時代や文化に対する深い思いがこめられているようだ。
【額装】
額の色は白、茶、ナチュラルを用意。ロンドン ナショナル・ギャラリー公認の証としてマットに金色のプレートが貼付。壁掛け可能。
【高品位美術印刷】
画稿はキヤノンが開発した高品位美術印刷技術により高品質・高細に複製。
インクに圧力や熱を加え「微粒子」に変えたうえで、直接紙に噴き付けて印刷しているので網点(ドット)がなく滑らかな印刷面となる手法。
この印刷は30~50年近く変色しない技術から国宝や重要文化財などのレプリカ製作にも応用されており、その品質は高い評価を得る。耐光性・演色性に優れ、高品質を長くお楽しみいただける。
【アンブロジウス・ボスハールト(1573-1621)】
ベルギー・アントワープに生まれる。オランダの絵画黄金期時代の画家として知られ、おもに花を対象とした静物画を描いた。アントウェルペンで画家としてスタートするが、プロテスタントの迫害をうけ1587年にオランダ・ミデルブルフに移り住み、人生の大半を過ごした。柔らかくビロードのような質感で描く花びらの表現は、いまなお高い評価を得ている。
【今日の逸品】
複製画「ワン・リー花瓶と花の静物」/額装
『大人の逸品』オリジナル
10,000円(消費税込み)