時計の本質とは何か。究めた結果たどりついたのは光発電機能を搭載する、美しく研ぎ澄まされた世界最薄(※)の腕時計
時計の国産化を目指して尽力
確かな品質と高い機能性で世界中にファンを持つシチズン時計。その軌跡は絶え間ない探求と挑戦の連続だった。創業は大正7(1918)年。当時、時計は輸入に頼っていたが、銀座で貴金属商を営んでいた山崎亀吉が「国産の懐中時計を作りたい」と、東京・上戸塚(現在の新宿区高田馬場)に尚工舎時計研究所を設立。苦心して研究を重ね、大正13(1924)年に悲願の懐中時計を完成させた。初の製品は山崎と親交があった当時の東京市長・後藤新平が“永く広く市民に愛されるように”と願いを込めて「CITIZEN」(市民)と名付け、これが6年後、新社名としても採用された。
同社は戦後も国産初の本格的電子腕時計や耐震装置を備えたモデルを世に送り出すなど、新たな技術の開発に挑み続けた。そうして昭和51年に世界初の太陽光発電時計が誕生し、その技術が進化して今や同社の基幹技術である『エコ・ドライブ』となった。
「エコ・ドライブは、文字板下に内蔵されたソーラーセルで光を電気に変換し、時計を動かす独自技術。『エコロジードライブ』の略で、“人・社会・環境にもずっと優しく、ずっと動き続ける”という意味が込められています。当時、時計は電池で動くクオーツ時計が主流。電池交換が手間で、使用済み電池は廃棄物となっていました。そこで環境に優しい時計を作ろうと、世界初の太陽光発電時計を開発したのです」と、開発営業部の加藤智行氏。
以来、40年以上にわたる研究と技術開発でエコ・ドライブはより進化。ムーブメントの低消費電力化や正確に時を刻む精度、駆動時間などを追求し、腕時計の未来を切り拓いてきた。
薄さと強さを兼備した渾身の一本
そんなエコ・ドライブの集大成が、今回紹介する『Eco-Drive One』だ。85個の部品を内包した光発電ムーブメントはわずか1mm、時計本体も2.98mmと、ともにアナログ式光発電時計としては世界最薄(※)。過度な機能や華美な装飾を極限まで削ぎ落とし、時計の美しさを限りなくシンプルに表現している。
「当社の時計づくりは部品製造から組み立てまで自社内で一貫製造する“マニュファクチュール”が基本。一つひとつの部品を強度を保ちながら極限まで薄く作り、それを緻密に組み立てる技術があるからこそ、薄さと強さを兼ね備えた時計を作ることができました」と、加藤氏は胸を張る。
本品は一度のフル充電で約12か月駆動し、装着していることを忘れるほど軽く、腕にまとった際の心地よさも別格。まさに時計の本質を究めた銘品だ。
※2020年11月メーカー調べ
【今日の逸品】
CITIZEN「Eco-Drive One」
シチズン時計
440,000円(消費税込み)