太平洋に面する土佐湾は日本有数の鯨の生息域で、鰹と並んで鯨は古くから土佐の人々にとって身近な存在。海沿いの町では今もホエールウォッチングが盛んに行なわれている。そんな高知の象徴ともいえる鯨をモチーフにした愛らしいナイフを紹介しよう。
作り手は「冨士源刃物製作所」の2代目・山下哲史さん(72歳)。「土佐の匠」に認定されている土佐打刃物の名人だ。本品を作るきっかけは、ある母親からの子ども用ナイフの制作依頼だったという。「安全のため刃先を丸くして、持ちやすいものを造形したら、鯨のように見えた」と山下さんは語る。
そこで「くじらナイフ」と命名し販売したところ、親しみやすいデザインと鋭い切れ味で、瞬く間に人気商品となった。本体は型抜きだが、刃の荒研磨から仕上げの研ぎまで全工程を山下さんが手作業で行なうため、1日に製造できるのは20本がやっと。平成16年に開かれた第18回ニッポン全国むらおこし展では、最高賞の経済産業大臣賞に輝いた逸品である。
【今日の逸品】
ぐじらナイフ
冨士源刃物製作所
7,480円(消費税込み)