高知県指定の伝統的特産品である土佐硯。その歴史を繙くと、応仁2年(1468)、応仁の乱で京から土佐に逃れた公卿・一条教房は、同地で良質な硯石を発見し、愛用したという記録が残る。その後、原石の存在場所が不明で、幻の硯石とされていたが、昭和41年(1966)、書家の新谷健吉が硯石を再発見したことで硯の生産が始まり、地場産業へと発展した。
土佐硯の原石は、青黒く、細かいキメが整う黒色粘板岩である。書家の間では「墨の下り具合が素晴らしく、麗しい墨色が得られ、座右に置いて愛用したい優品」と評価が高い。
伝統と革新の硯
高知県の西南、幡多郡三原村は、土佐硯の原石の産地である。ここに工房を構える「三原硯石加工生産組合」の品を紹介したい。
「小判型蓋つき天然硯」は、熟練の職人が丁寧に彫った伝統的な楕円形の硯で、原石の美しさを活かした蓋が付く。
奈良「墨運堂」の固形墨を添えてお届けする。
【今日の逸品】
土佐硯 小判型蓋つき天然硯
三原硯石加工生産組合
43,780円(消費税込み)