土佐打刃物の始まりは、武将・長宗我部元親が土佐国を統一した天正年間後期(1590年代)とされる。戦国乱世で繁栄した刀鍛冶から伝承した技術を用いて、鎌や鉈、鍬といった農林業用打刃物を製造しながら技を磨いてきた。その特徴は自由鍛造と呼ばれる製法にある。職人は高温に熱した鋼を丹念に叩いてのばし、広げながら自由自在に形を整えていく。その技能は高く評価され、国の伝統工芸品にも指定されている。
2本の片刃包丁は、高知県中央部、須崎市にある包丁専門工房「迫田刃物」の逸品。高知の優れた伝統技術を継承する「土佐の匠」で、国の伝統工芸士でもある迫田春義さん(79歳)が熟練の技で鍛造。それを研ぎの技を極めた息子の剛さん(51歳)と弟子ふたりが丹精込めて仕上げている。丹念に研いだ刃はしっとり艶やかで美しい。「出刃包丁」は厚みのある刃体で切れ味鋭く、家庭であればほとんどの魚に対応する。一方、「貝割包丁」は鰺のような小魚や烏賊などの調理に適している。
また、自社製品を長く愛用してもらいたいという思いから、迫田刃物では研ぎ直しの依頼も受け付けている。
【今日の逸品】
土佐打刃物の包丁
迫田刃物
16,500円~(消費税込み)