過去1年間の『サライ』の記事や広告の中から、サライ世代に優しい商品やサービスなどを選定し、表彰する「サライ大賞」。今年も大賞と各部門賞が決定いたしました。
読者が選んだ「サライ世代に優しい商品」発表
この1年間で『サライ』に掲載された商品やサービスなどから選定される「サライ大賞」。今年も読者による投票(1520票)と審査員による選考により、大賞ほか各賞が決定した。審査員は写真家の田沼武能さん、テルモ社外取締役の松永真理さん、デザイナーの橋本夕紀夫さんにお願いした。
【審査員】
【大賞】
パナソニック 『Jコンセプト』シリーズ 家庭用紙パック式掃除機 MC-JP500G
オープン価格(実勢価格5万5000円前後)
大賞はパナソニックの『Jコンセプト』シリーズ。生活経験豊かな50代、60代を「目利き世代」として、この世代が使いやすいように工夫された家電群だ。掃除機、エアコン、冷蔵庫をはじめとする、生活家電が展開されている。
「これまで若者やファミリー向けが主だった家電を、サライ世代に向けて上質に作り込むコンセプトが素晴らしいですね」(松永さん)
「掃除機を試しましたが、その軽さと機能に驚いた。今までの負荷が軽減された使用感があります。シニアという言葉を前面に出していないのもいい」(田沼さん)
「無駄を削ぎ落としたデザインがいいですね。シンプルでいて細部に宿る美しさと使いやすさは日本ならではのものづくり。今後の展開に期待が高まります」(橋本さん)
『MC-JP500G』は本体の材質からモーターなどの部品に至るまで、徹底的に小型・軽量化を図った。
「シンプルで、機能美。操作がしやすいですね」(松永さん)
問い合わせ:パナソニック
【年齢・体に優しい部門賞】
ダイソン『ダイソン V6 Mattress』オープン価格(実勢価格4万4000円前後)
年齢・体に優しい部門賞は、ダイソンの『ダイソン V6 Mattress(マットレス)』に決定。アレルギーの原因となる、布団に潜むダニのフンや死骸などのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を強力に吸引する掃除機だ。吸い込んだゴミがたまっても落ちない高い吸引力や、きれいな排気の実現、軽く、扱いやすい点などが高く評価された。
「赤い引き金を軽く引くだけで吸引ができ、軽くて使いやすい。布団を干すことができないときにも便利です」(松永さん)
「付属するノズルを交換すれば、ソファや車のシートの掃除にも活用できて重宝する。見た目にも美しく、機能とデザインを両立させた点が高評価です」(橋本さん)
問い合わせ:ダイソンTEL 0120・295・731
【環境に優しい部門賞】
トヨタ自動車『MIRAI』 メーカー希望小売価格723万6000円(税込)
環境に優しい部門賞に決定したのは、燃料電池に水素と空気中の酸素を取り込み、化学反応により発電させて動力とするトヨタ自動車の『MIRAI』。地球温暖化の原因となるCO2などの大気汚染物質を出さず、走行時は水を排出。新たなエコ・カーの誕生だ。今年1月に行なわれた第91回箱根駅伝では、大会本部車・会長車に採用された。
「20年近い研究と実験を経て、ついに一般向けに発売されたという点に、環境問題の解決に対する意気込みを感じます」(田沼さん)
「約3分の水素充填(じゅうてん)で、ガソリン車と同等の約650㎞という走行距離を実現したチャレンジ精神に感心。未来への希望を感じる、思い切った名前も見事」(橋本さん)
問い合わせ:トヨタ自動車 TEL(フリーコール)0800・700・7700
【サービス・企画部門賞】
BESS 新世代ログハウス 『G-LOG』 標準価格1968万円
※建築地域の条件により、価格は異なります。
サービス・企画部門賞はBESS(ベス)が手掛ける、新世代ログハウス『G-LOG(ジーログ)』に決定。三角形の大きな屋根に包まれるような2階に軒下を設け、10畳ほどもある広々とした“超ベランダ空間”を実現した。かつては日本の家屋によく見られ、日本文化の象徴ともいえる軒下。それを“空中”で楽しめる空間として現代風に表現したことから、注目を集めている。
「軒下を2階に設けるという発想が、実におもしろい。新しさの中に、懐かしさを感じさせてくれるアイディアです」(松永さん)
「ログハウスというと丸太を組んだ別荘と思いがちだが、『G-LOG』は日常的な住まい。ログハウスの新しい形式としても評価できると思います」(田沼さん)
問い合わせ:BESSスクエア TEL03・3462・7000
【人物部門賞 サライ・シニア・オブ・ザ・イヤー】
澤村 正さん(本美濃紙保存会会長・86歳)
人物部門賞には、昨年、ユネスコ無形文化遺産に登録された本美濃紙(ほんみのし)の職人である澤村正さんが選ばれた。機械で自動化された「機械抄紙」(しょうし)が広まるなか、一度は廃業を考えたものの、父の想いを受けて誠実に伝統的な手漉きの技術を継承し、歴史を守ってきた。86歳を迎えた現在も、一職人として本美濃紙を作る一方、後続の若者たちに技術を伝えている。
「機械漉きが主流のなかで、手漉きのよさを伝え続ける職人としての姿勢に脱帽です」(橋本さん)
「この道へ入ってくる後継者のために、〝暮らしの中にもう一度、和紙を〟と語る姿からは、謙虚な熱意と愛情が伝わってきます。心をのせたものづくりの大切さを教わりました」(松永さん)
取材・文/斎木香奈美 撮影/末安善之 写真/齋藤亮一(澤村正さん)