パチンコ依存症/ギャンブル依存症の実態(当時の言動)と家族・周りの方の関わり方|依存症だった私たちにできること新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうとするとき、パチンコ依存症・ギャンブル依存症対策が社会的に遅れている実態が顕在化してきました。

また実際にこの新型コロナウィルスの影響から、依存症の経験者たちが中心となり、治療共同体運営や、理解促進活動などに取り組む団体である依存症治療共同体 一般財団法人ワンネスグループ(https://oneness-g.com/)宛の相談件数も増え、その相談比率や内容にも変化が出ています。

こういった状況を受け、実際に施設で依存症回復に取り組む「当事者たちの経験談」、および 特に「ご家族や周りの方々がどのように接していくべきか」が、一般財団法人ワンネスグループから発表されましたので、ご紹介します。

■当事者だったからこそ、伝えられることがある

かつて自分自身が依存症に苦しみながら 家族や周りの人たちにも大きな負担を強い、現在、依存症回復施設に入寮し回復に取り組んでいる問題当事者だった本人たちから、「当事者として今伝える社会的な責任がある」旨の申し出があり、経験談の取りまとめと対策発表に至りました。

特に次項からの、当時自分たちが「どんな嘘やごまかし方をしていたか」「どんな言動で依存症を正当化していたか」については、不快感を覚える方も多くいらっしゃると思います。現在依存に苦しむご本人にとっては耳の痛い、厳しい言葉にも聞こえるかもしれません。

状況の好転を願いまとめておりますので、ぜひ情報を必要とする方の元へ届きましたら幸いです。

■パチンコ・ギャンブル資金がショートした時の嘘やごまかし方

まずは、パチンコ・ギャンブル資金が足りなくなったときについたことのある嘘や、ごまかし方についてその一部を発表します。中でも、ほとんどの方が使ったことのある言い訳が「財布を落とした/なくした」でした。最もポピュラーな嘘ともいえます。

・サイフを落とした/無くした。
・ひったくりにあった。
・勤めている会社の給料の支払いが遅れているから、一時的に貸して欲しい。
・家族が病気になってしまった。
・(ギャンブルの事は隠した上で)食べていくお金がないと近所の人達、同僚、家族に頭を下げて回った。
・会社の経費を立て替えていて、経費が精算されるまで手元の現金が足りない。
・子どもの学費を使った。
・「少しだけ」ギャンブルに負けたから貸してほしい。
・実際に起きたトラブルなどを大きく伝え、お金を工面した。(車の修理に見積もりが5万円。でも親には10万円必要だと伝えた。)

■パチンコ・ギャンブルを正当化するためにどんな言動を取っていたか

・自分のストレスの原因は周りにある。スカッとするためにはギャンブルをするしかないんだ、仕方ない。
・自分は、家族に助けを求めている(つもりだった)のに全然助けてくれない。だから仕方ないと思っていた。
・自分がこんな風になったのは、親のせい。昔の自分への振る舞いが悪い。だから(ギャンブルや借金のために)親のお金を使ってもいいんだ。
・(パチンコ店にいる他の人を見ながら)自分はまだ仕事もしているし、こいつらよりはひどい状態じゃないから大丈夫だ。
・ギャンブルは違法じゃないんだから、やめる必要はない。
・他のギャンブルよりは、自分がしているギャンブルの方がましなジャンルだから大丈夫。
・人付き合いのためにやってるんだ。
・ギャンブルが悪いんじゃない、借金があるから問題なんだ。借金さえ返したらまたギャンブルができる。
・ギャンブルしないやつはつまらないやつだ、と思っていた。
・家には居場所がない。パチンコ店・ギャンブル場にしか居場所がない。

■家族や周りの人がギャンブル依存かも?と思ったら

依存症患者は自分で全ての責任を追いきれません。そのため、周りの人たち、(とくに身近な人たち)が巻き込まれてしまうこともあります。実際に身近な人に依存症(の傾向)が見られる場合はどのように対応していけばいいのでしょうか。

・I(アイ)メッセージ

周りの人が不安になったり、感情的に相手を怒って抑圧したり、強制的に何か指示をするのも効果がない場合が多いです。そこで、推奨する声のかけ方が、「Iメッセージ(私はこう思うという自分主体の考え方)」です。

「私は、あなたがギャンブルに行くことで、あなた自身の健康が脅かされてしまうことに家族として不安です」

というように、「私はこう感じている」というメッセージを相手に伝えていくことで、相手の心のシャッターを徐々にあげていくことで、行動が変化する可能性があがります。

・専門家に相談する

Iメッセージを使ってコミュニケーションを取っても、行動がすぐに変わらないこともあります。長い目で見ていくことも必要ですが、依存症が疑われる本人よりも先に、同居している家族が不安やストレスに耐えられなくなることも多くあります。当たり前で当然のことです。

もちろん、不安感から感情的に接することでも、諦めてしまうことでも状況は好転しません。

ご家族や周りの方が1人で抱えきれなくなる前に、「心理的な支えを第三者から得ていくこと」。つまり、専門機関や行政、地域の精神保健福祉センターの窓口などを利用することをおすすめします。

不安やストレスを共有して棚卸ししたり、別の関わり方を一緒に考えていくなど前向きな次のステップを考えていきます。

・オンラインセミナー、相談会、家族会など

いきなり専門家に連絡するのは気が引ける、という方もいらっしゃるかもしれません。

まずは、手軽なオンラインの会に参加することもできます。

オンラインセミナーや相談会、家族会(依存症当事者の家族での会・関わり方に関するアイディアなどを出し合ったり意見を聞いたりする)などを毎日のように行っているところもあります。

・社会全体で取り組むべき大きな対策

依存症を取り巻く問題は根深く、潜在的に多くの方が依存症(と疑われる症状)で苦しんでいます。日本の成人男女のうちおよそ320万人が依存症にかかっていた可能性があるという調査結果もあります。

パチンコ依存症・ギャンブル依存症対策が社会的に遅れている実態が顕在化した今、上述のような個人ができる対策のほか、下記のような対策も必要です。

●パチンコ・ギャンブル事業者自身による依存症予防対策
●従来の「見せない、触れさせない」というスタンスではない、ギャンブルの制限年齢以前(特に高校生)への依存症教育
●個々人がウェルビーイングを高く保つことのできる社会づくり

協力/一般財団法人ワンネスグループ https://oneness-g.com/

 

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