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取材・文/ふじのあやこ

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「ちゃんと嫌いにもなれないのに、近づくこともできなかった。初めて頼られたことで、やっと両親と家族として近い存在になれた気がします」と語るのは、久美子さん(仮名・36歳)。彼女は現在、都内にあるメーカーでマーケティングの仕事をしています。声が大きく表情も豊かで明るい印象を受けます。しかし、会話を交わす中には自分を卑下するような発言が目立ちました。

実家に入り浸る父親とそれにさえ文句を一切言わない母親。2人の関係性がまったく見えなかった

久美子さんは岐阜県出身で、両親と2つ上に姉のいる4人家族。両親の出会いはお見合い。当時のお見合い結婚には珍しく、母親のほうが年上だと言います。

「お互いの親の知り合いから紹介を受けて、お見合いしたと聞いています。母親のほうからそのことについて詳しく聞いたことはないんですが、父親が父方の身内との飲みの席で『お見合いで年上を紹介された時はびっくりした』とよく口にしていました。両親の年齢差はたった2歳。母親のいない飲みの席で冗談っぽくでもこんなことを言う父親は、なんてデリカシーのない人なんだと思ったことを覚えています」

父親は3歳下の弟(久美子さんの叔父)と仲が良く、弟は独身で祖父母の住む実家にいたこともあり、実家に入り浸っていたとか。

「その頃母親は週に2〜3日パートに行っていたくらいで、ちゃんと晩御飯を毎日用意してくれていました。でも父親は何も言わずに実家に寄って、酔っ払って帰ってくる。うちから徒歩でも15分ぐらいの場所だったのに、夜中でもお構いなく、祖母から連れて帰ってくれという電話がよくあったんですよ。車で迎えに行っている母親が少し可哀想に見えていましたね。でも、そんな父親だったのに、母親から父親の悪口は一切聞いたことがなかった。というか、私たちの前で父親の話をすることなんてなかったんじゃないかな。まったく記憶に残ってないので」

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