文・イラスト/小池美波
こんにちは!快適に過ごせる靴との出会い第5回目です。
今回は転倒と靴の関係性についてお話していきます。
皆さんは、日常生活の中で小さな段差につまずいてしまうことはありませんか。
年齢を重ねていくと視野も狭くなるため、その頻度はより高くなるでしょう。
転倒は骨折の原因などになり兼ねませんので、気をつけなければなりませんね。
・若年者と熟年者の歩行の違い
下図の左側が若年者、右側が熟年者の歩行を比較したものです。
年齢を重ねる度に筋力が低下し、以下のことが歩行時に現れます。
・腰が落ち姿勢が悪くなる
・腰が落ちることで膝が曲がる
・歩幅が狭くなる
・爪先が上がらなくなる
・脚が上がらなくなる
この状態により、若い時に比べ転倒しやすくなると言えるでしょう。
また、歩行時には下図のような順に重心移動をします。
この動作を「あおり歩行」と言います。
あおり歩行により、無駄なエネルギーを使わずスムーズに歩行が可能になります。
子どもの頃に身につく基本的動作ですので、皆さん自然に行っているはずです。
しかし、年齢を重ねていくうちに土踏まず(アーチ)が低下します。そのため「ベタ足歩行(俗にいう偏平足)」になり、「あおり歩行」ができなくなります。
あおり歩行ができなくなると重心移動が上手くできないので、つまずきやすくなるというわけです。
・転倒しにくい靴とは?
それでは、転倒しにくい靴とはどんなものでしょうか。
いくつかのポイントをご紹介します。
(1)爪先が反った靴を履く
皆さんもご自身の靴を確認してみて下さい。爪先部分の反りは十分ありますか。
爪先部分が反っている靴は、比較的重心移動が楽にできます。そのため、カカト着地〜爪先で地面を蹴るという「あおり歩行」もしやすくなります。
ランニングの靴などの運動靴は爪先の反りが大きく重心移動が簡単です。
何もないところでつまずく方は、爪先に反りがない靴を履かれているかもしれませんね。
(2)サイズが合った靴を履く
また、靴のサイズがご自身の足に合ったものを履くというのも転倒予防になります。
靴のサイズの確認方法はこちらをご覧下さい。
「ぴったりしている靴は履きにくい」、「圧迫感があって、履きたくない」ということでゆったりとした靴を選ぶ方が多いです。
しかし、履きやすい靴は脱げやすい靴と言えます。
例えると、サイズがあっていない靴を履くということは「スリッパ」を履いているのと同じ状態と言えます。
スリッパは非常に履きやすいですが、脱げやすく滑りやすいですね。従って転倒しやすくなるのです。出来るだけ足と一体化するような靴を選びましょう。
(3)屈曲性のある靴を履く
転倒予防をする上で、靴底を重要視すると思いますが「屈曲性」のある靴を選ぶということも大事なポイントです。
転倒しやすい方に多いのが「擦り足」で歩いているということです。
屈曲性のない靴を履いていると擦り足になりやすく、つまずきの大きな原因となります。
また「あおり歩行」をするためにも「屈曲性」は大事と言えるでしょう。
今回は3点のポイントをご紹介致しました。
このように転倒しにくい靴を選ぶことはとても重要ですが、適度な運動量を保ち筋力維持をすることも転倒予防につながります。
快適な生活を送るためにもこれらを参考に怪我予防に努めましょう。
文・イラスト/小池美波