文/岩田昭男
50歳からのカード選び|ステータスの世界も様変わり。新しいプラチナカードをもつチャンス■プラチナカードの特長

プラチナカードはゴールドカードの上位にあるクレジットカードです。審査が厳しく、年会費も高いので、「持ちたくても持てないカード」ですから、多くの人にとっては憧れの的になっています。

一般のクレジットカードが決済(支払い)が目的なのに対して、プラチナカードは、「コンシェルジュサービス」や「1億円の海外旅行傷害保険」、「リムジンでの送迎サービス」といった豪華な特典があり、決済以外にも、それらを利用できることを売りにしています。

プラチナカードには、アメックスのプラチナカード(年会費13万円+税 )やダイナースクラブのプレミアムカード(年会費13万円+税 )、JCBのザ・クラス(年会費5万円+税 )などがあり、それぞれ年会費は高額です。また、入会審査は招待制が基本で、本人のクレジットヒストリーなどを勘案してカード会社の方から一方的に指名してきます。

■プラチナカードを持てる人の条件は?

ですから、いくら入会を希望して申し出てもそれは難しいのです。カード会社は自社のゴールドカード会員の中から利用実績のある会員を選んで招待するという流れだからです。閉ざされた世界と言えるでしょう。

では、どんな人が招待されるのでしょうか。バブル期までのデータですが、ダイナースクラブの基準は、医者、弁護士などの個人事業主、または企業経営者。一部上場企業の社員で、役職者、33歳以上で、持ち家、年収は1000万円以上という基準でした。その厳しい基準をクリアしないと招待は受けられないと言われていました(現在は一部上場の社員といった項目はなくなっています。ハードルは下がりましたが、年収や利用金額はしっかりチェックされます)。

■クレジットカードをきれいに使うのがコツ

3人めの質問者のCさんや筆者などもまさにこうした厳しい時代を生き抜いてきました。私はゴールドカードは持ったもののその後のプラチナ争いは勝ち目がないと思い、離脱しましたが、Cさんは、生涯の目標であったプラチナカードを得るために、まさに「修行僧」のような生活をされたのだと思います。

Cさんの話によると、まず会社での仕事に励み、地位を固め、資産を増やしたといいます。それからクレジットカードのスコア、いわゆるクレジットの履歴を磨く事に専念しました。毎月一定額以上のカードの利用をして、返済期日にはきちんと支払い、公共料金などそのカードで払えるものはまとめて払い、クレジットスコアをきれいに磨きあげてきました。それを30年間頑張ってきたのですから立派なものです。

そしてなんとかプラチナカードの招待を受け、定年間際ではありましたが、目的を遂げました。それからCさんはそのプラチナカードを使って、海外旅行に行ったり国内でのイベントに参加して楽しく過ごしていらっしゃいます。

■10年で全く別の国になったニッポン

しかし、こうした幸福な体験ができたのも、Cさんの世代までだったでしょう。というのも彼が修行を積んでいる間に世の中がすっかり変わったからです。

日本は10年前から見るとまるで別の国になってしまいました。サラリーマンの常識であった「終身雇用制」や「年功序列」がもろくも崩れ去り、お金がすべて、スピードがすべての剥き出しの競争社会になっています。

その結果、同じ会社で一生キャリアを積み上げることが前ほど評価されなくなったのです。現在は転職の回数が多いほど評価される時代になっています。また、年功序列についても、かつては50歳、60歳のベテランの社員を、その経験と知識の深さによって、尊敬していましたが、今は全く違います。逆に若いほど評価は高いでしょう。いくら20代でも自らスタートアップ企業を起こしていれば、時代を切り開くイノベーター(起業家)だと高く評価されます。

■ステータスの世界も様変わり

こうした変化を受けて、高級カードの世界では、「ステータスカードの常識が崩れた」と言う声も上がったほどです。実際今年になってアメックスはプラチナカードの招待制を見なおすと宣言しています。

これまでは自社のゴールドカード会員を中心にプラチナカードホルダーを選んでいたのですが、プラチナ会員の友人からの誘いなら申し込めるなど実質申し込み制へと大きく舵を切りました。

■単なるお金持ではなくアクティブな人を評価するカード会社

ITとグローバル化の影響で「富裕層」「ステータス」の中身がすっかり変わってしまったのです。これまでは同じ会社でキャリアを長く積むことが最も大切な事でしたが、今はむしろ信念を持ちながらいろいろな会社を渡り歩いてキャリアアップする方が評価されるようになっています。ステータスカードの審査もこうした世の中の変化に合わせて変わり始めたということでしょう。

特に大切にされるのが30代40代あたりのアクティブな個人事業主です。スタートアップの起業家にこのタイプは多いのですが、イノベーションに貪欲で好奇心が強く、お金もたくさん稼ぐが使うときも大胆といった人たちです。これまではプラチナカードの対象にはなりにくかったのですが、アメックスなどは積極的にこの層を取り込もうと勧誘しています。

アクティブな人たちですから、プラチナカード会員になってもらえば、積極的に買い物をしてくれて、アメックスの売り上げも増えるというわけです。

■格安のプラチナカードが発行された

また、カードを取り巻く状況にも変化が出てきました。ゴールドカードがそうであったように、プラチナカードにも格安バージョンが出てきたのです。プラチナカードの年会費の相場は5万円から13万円といわれています。そうした中で今では年会費2万円で、フルスペックのプラチナカードに負けないものが出てきています。ですからちょっとしたプラチナカード気分を味わいたいと言うならこうした簡易型プラチナカードで十分ではないでしょうか。

■おすすめのプラチナカードの紹介

今回おすすめするのは、ニコスとオリコのプラチナカードです。どちらも年会費2万円でフルスペック並みの特典を揃えていますが、オリコの方が消費税込みになっていますから、ハードルは若干低いでしょう。

【MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード】

MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード

発行元 三菱UFJニコス
提携先 アメリカン・エキスプレス
年会費 20,000円+税
特典 海外旅行傷害保険最高1億円(自動付帯5000万円+利用付帯5000万円)、国内旅行傷害保険最高5000万円(利用付帯)
ポイント還元率 0.5% 海外利用は2%

カードの特長:世界700以上の空港ラウンジを無料で利用できるほか、往復路ともに利用できる空港の手荷物宅配サービス、24時間対応のプラチナコンシェルジュサービスなど特典が豊富。海外旅行傷害保険最高1億円に加えて国内・海外旅行便遅延補償も付く。国内の提携レストランで2名以上で注文すると1名分が無料になる「プラチナグルメセレクション」もあります。

【Orico Card THE PLATINUM】

Orico Card THE PLATINUM

発行元 オリエントコーポレーション
国際ブランド マスターカード
年会費 20,000円(税込)
特典 海外旅行傷害保険最高1億円(自動付帯5000万円+利用付帯5000万円)、国内旅行傷害保険最高5000万円(利用付帯)、海外・国内航空機遅延保険(最高10万円)
ポイント還元率 100円= 1ポイント

カードの特長:キャッチフレーズは「使えるプラチナ」。年会費2万円で「コンシェルジュサービス」「ダイニングby招待日和」「海外の空港ラウンジ利用が無料」などプラチナ特典も多数用意。コスパの高さが魅力のカード。高還元率で誕生月にオリコモールで買い物すると3.5%以上のポイントが貯まります。旅行傷害保険が最高1億円付くほか、業界初となる個人賠償責任保険が最高100万円。本人以外の家族で、まだカードを持てない子供たちの分も最高2000万円の補償を受けられる家族特約が有利。

■まとめ

前回紹介したCさんはまさに終身雇用制の世の中で奮闘してこられた戦士と思いますが、そろそろ年会費が負担になってきたとおっしゃっています。そうであれば、この新しいプラチナカードにチェンジしても充分に満足されると思います。そうした意味でも常に前向きに取り組む姿勢を待ち続けるのがよいでしょう。臨機応変な対応も元気な年金世代には重要な要素と思います。

一方、Cさん以外の人、現在50代で現役の人や熾烈なプラチナ取得競争で、脱落した人には、敗者復活で、新しいプラチナカードをもつチャンスでしょう。年会費も安いですし、審査も純正プラチナに比べるとグンと緩くなるので、入会するチャンスも増えます。しっかり研究してリーズナブルなものを選んでください。

文/岩田昭男
消費生活ジャーナリスト。月刊誌記者などを経て独立し、流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。とくにクレジットカードについては30年の研究歴を誇るレジェンド的存在。

 

 

 

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