同居してわかった義父の新たな一面

母親と義父の2人と愛子さんが一緒に暮らすようになったのは、愛子さんが高校生のとき。祖父が肺炎により亡くなったことがきっかけだった。

「私と祖母の2人になったことで、義父が『一緒に暮らさないか?』と提案してきてくれたんです。祖母と一緒に暮らしていた家は老朽化が進んでいたこともあり、そのときに家を手放すことになりました。母と義父は祖母の負担にならないように、祖父母の家の近くに新たな住まいを構えてくれたんです。おかげで私も転校することなく、卒業まで通うことができました」

同居してから気づいたのは、義父の心配性なところだという。

「同居する前から、私は週2回塾に通っていたのですが、同居する前はバスで帰宅していたのに、一緒に暮らすようになってからは帰りが遅くて心配だと義父が車で迎えに来てくれるようになりました。また、遊びに行った帰りなども私は駅前に置いた自転車で帰っていたのに、危ないからと言って、迎えに来てくれることが増えましたね。そこが唯一一緒にいるからこそわかった一面ですかね」

愛子さんは27歳のときに結婚し、今は一男一女に恵まれて家族4人で暮らしている。結婚式のバージンロードには義父と歩いたという。また、当時入院していた祖母に花嫁姿を見せたいという願いをかなえるために両親は病院の許可取りやヘルパーの手配などに尽力してくれたそう。当時を振り返り、「義父が自分だけでなく、祖母のことも家族だと思ってくれていることがわかって、嬉しかったです」と愛子さんは語る。

周囲の視線や同情は、時に自分の幸せさえも揺るがせてしまうことがある。しかし、幸せとは、他人からどう見えるかで決まるものではない。大切なのは、自分の心が満たされているかどうかだ。自分自身が「幸せだ」と感じられるなら、それこそが本当の幸せなのだ。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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