流産後、両親は2人の結婚に反対した
景子さんは大学に進学し、彼は高校卒業後に働き始めた。すれ違うことも多かったが付き合いは続き、25歳のときに景子さんの妊娠が発覚。2人は結婚することになった。
「仕事を始めて、ようやく楽しいと思ってきた矢先のことだったので戸惑いもありましたが、素直に嬉しかったです。プロポーズもなかったのですが、彼が当然のように結婚を口にしたことも嬉しかった。両親もおめでとうとそのときは言ってくれました」
しかし、景子さんは入籍する前に流産をしてしまう。そこで両親の本音を知ったという。
「子どもがいなくなってすぐに、父親から『結婚をやめなさい』と言われたんです。本当は結婚に反対していたことを知って、裏切られた気持ちになったんです。おめでとうの言葉は嘘だったのかって。
両親とは正反対に、義母は子どもがいなくなった後も『もう娘だと思っているから』と結婚することを認めてくれたし、妊娠がわかったときも泣いて大喜びをしてくれていました。その両親と義母の差を感じて、私は義母と夫を選ぼうと思ったんです」
両親の反対を押し切り、2人は結婚。2人は地元から2駅ほど離れた場所で新居を構え、暮らし始める。
「地元を離れたかった思いもありましたが、お互いの仕事や、義母のこともあり、近場で新居を構えました。しかし、2駅ほど離れただけでも私たちを知っている人はほとんどいなくなり、両親にも私たちの情報が伝わらないだろうと安心感がありました。
そこから母親とはたまに電話をするぐらいで、帰省は一切しなくなりました」
義母とは月に一度会い、食事の後にお金を渡すのが、いつしか恒例になっていた。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
