取材・文/ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。
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株式会社AlbaLinkは、「親との価値観の違いに関する意識調査」(実施日:2025年8月27日~28日、有効回答数:全国の男女500人(女性335人/男性165人)、インターネット調査)を実施。同調査にて、「親との価値観の違いを感じるか」を聞いたところ、「やや感じる(47.6%)」「とても感じる(37.4%)」と答えた人が合わせて85.0%にのぼり、多くの人が親との価値観の違いを感じている実態がうかがえた。「親との価値観の違い」を感じる内容として最も多かった回答は「働き方の柔軟性(18.8%)」となり、2位は「男女の役割分担(12.4%)」、3位「結婚出産の考え方(11.2%)」が続いた。次に、親と価値観が違うと感じたときの対応を聞くと、1位は「適当に受け流す(39.8%)」となり、2位の「自分の意見を伝える(21.0%)」と倍近く差をつけていた。
今回お話を伺った景子さん(仮名・43歳)は、高校時代から付き合っていた男性と妊娠をきっかけに結婚を決意するも、流産をしてしまう。授かり婚を予定していたときは反対しなかった両親だったが、子どもがいなくなったことで改めて結婚に反対。その反対を押し切って結婚したことで、両親と疎遠になっていた。【~その1~はこちら】
義母からのお金の催促は15年で終了
景子さんと義母の関係は、結婚後も良好だった。しかし、景子さんが高校生のときからはじまったお金の催促はずっと続いていたという。学生時代は遅れても返済があったが、景子さんが社会人になってからはお金の無心に変わってしまっていた。
「義母は夜の仕事をやめて、週2~3回昼のパートをしていました。私たちが結婚してからは別々で暮らしていたので、お金が足りなかったんだと思います。夫も生活費を渡していたけれど、それとは別に私もお金を催促されて渡していました。学生時代は返済してくれていたから、返してくれるはずだと思って毎月2~3万円を夫に内緒で渡していたのですが、私が社会人になってからは返済してくれなくなりました。
その後、結婚して家族になった後も続き、毎月お金を渡すために一緒に食事することが決まりのようになっていきました」
「家族なんだから援助は当然」と自分を言い聞かせていた景子さん。しかし、景子さん夫婦は結婚後にケンカが絶えなくなり、離婚することになる。義母はとても悲しんでくれたというが、景子さんがお金の話題を出したことで、縁は完全に切れたという。
「夫はお金にルーズで、仕事も転々としていて、一緒に暮らしてからはあまりうまくいっていませんでした。些細な言い合いが大きなケンカに発展して収拾がつかなくなり、離婚することになりました。私たちは妊娠を機に結婚することになったのに、その後に子どもを授かることはありませんでした。夜にケンカをして、次の日の朝に仲直りすることが多く、夜の生活がほとんどなかったからです。
義母には夫から離婚を伝えてもらい、その後に義母と2人で会いました。離婚することをとても悲しんでくれていましたが、私が『今まで貸していたお金ですが……』と話し始めたら『家族じゃなくなったらすぐに手のひら返し』という言葉から嫌味を言われ続け、そのまま……。一切返済されることはありませんでした。離婚は31歳のときだったので、総額200万円は超えていると思います」
【親は娘の行ないを責めなかった。次ページに続きます】
