夫婦ではなく、子育てのパートナーとして
親権は瑞穂さんが持ち、そのまま家に住み続け、元夫が出て行くことになった。しかし、夫は家を探していると言うだけで一向に出て行かなかった。無理に追い出すことは子どもたちの手前できなかったという。
「離婚のことはちゃんと子どもたちに伝えて、元夫が出ていくことも伝えていました。夫は女癖が悪かっただけで、子どもたちにとってはとてもいいパパだったんです。
なかなか夫は出ていかなかったので、催促をしたかったのですが、『パパいる!』と毎日喜んでいる子どもたちを見るとできなくて。そのままズルズルときてしまいました」
そんな中で、夫のことを自然と子育てをする仲間として色々頼るようになっていった。そのときの気持ちを、『今までで一番一緒にいて楽だった』と瑞穂さんは振り返る。
「もう夫婦じゃないから、夫の前で捨てられないように女として頑張る必要がなくなって、楽になれたんだと思います。それに、女性関係という夫の受け入れがたい部分があっても、子どもをいつも最優先してくれていた。夫としては不合格でも、父親としては合格だったんです。子どもたちからそんな父親を奪う必要はないんじゃないかなって思うようになりました。それが今も同居を続けている理由です」
瑞穂さんと元夫は現在も4人で生活を続けている。生活上のルールを作り、事実婚というよりも、子育てを一緒に行うパートナーとして協力しているという。
夫婦という関係が終わっても、親子の関係は続いていく。瑞穂さんたちが見つけた「子育てのパートナー」というかたちは、従来の家族観に縛られない新しい選択肢だ。子どもたちの笑顔を最優先した先に、彼女らなりの幸せな家族のかたちがあったのだろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
