父が兄に絶縁宣言
兄は国立大学、大学院へ進学。兄は父親の希望を考慮しつつ、初めて自分の意思を押し切り、地方の大学へ進学して、家を出たという。
「両親は地元の国立大学に行ってほしかったみたいなんですが、兄は色々と理由をつけて両親を説得し、家から新幹線で1時間半ほどの大学へ進学しました。
兄はそこからあまり家に帰って来なくなりました。大学の1~2年の頃は正月には帰省していたけれど、それ以降はまったく。大学院になると忙しいと言ってあまり電話のやりとりもなくなりました。兄は留年することなくちゃんと進級していたので、親もそこまで干渉はしていなかったようでした」
兄はそのまま地元には戻らずに地方都市に本社のある大手企業に就職。しかし、その仕事を2年で兄は辞めてしまったという。もう兄に干渉しなくなっていた父親だったが、この勝手な行動に激怒。この一件で、両親と兄の関係は修復不能になってしまった。
「大手に就職が決まったとき、父は今までで一番嬉しそうでした。子育てが成功に終わったという達成感もあったんだろうと思います。兄が大学に合格したときは家でごちそうを兄に振る舞っていたのですが、就職が決まったときはホテルのレストランでお祝いをしていました。
だから、2年で仕事を勝手に辞めてしまった兄を、父は許せなかったんだと思います。あの頃はまだ3年以上勤めていないと再就職に支障があると思われていた時代でしたし。父と兄は言い合いになり、今までため込んできた窮屈だった思いを兄が父にぶつけ、父親が“絶縁”と言い放ちました。そこから兄は父の葬儀にも来ませんでした」
兄は家族に言えない秘密をずっと抱えていた。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
