取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、親やきょうだいのこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。

株式会社AlbaLinkは、「将来の介護に関する意識調査」(実施日:2025年1月28日~1月30日、有効回答数:30代以上の男女500人、インターネット調査)の結果を発表。調査にて、「家族や自分の介護に備えているか」を聞いたところ、「十分備えている」「ある程度備えている」と回答した人は合わせて18.4%となった。次いで、「誰の介護について不安があるか」という問いに対しては、「自分の親」と答えた人が73.6%で最多となり、2位の「自分」(22.8%)と大きく差が開いていた。

今回お話を伺った健一さん(仮名・50歳)は、7歳下に妹がいる。妹との関係について「年齢差もあってケンカなどはなかったが、きょうだいのような仲の良さもなかった」と振り返る。【~その1~はこちら

父の葬儀で、知らなかった妹の一面を知る

妹は結婚生活10年で離婚。妹夫婦は子どもを作らずに夫婦だけの生活を楽しんでいるように見えたが、実は不妊治療を行っていたという事実を母親から聞かされた。そのことと離婚を知ったからと言って、健一さんは何もしなかった。何かをするようなことでもなく、何かできるような関係でもなかったからだ。

「妹が離婚したということも本人からではなく、母親から聞いていました。妹の連絡先は知っていましたが、LINEなどは何年もやりとりしておらず、個人間でやりとりする関係ではなかったんです。まぁやりとりをしていたとしても、何も連絡しなかったと思いますが」

妹は離婚した後は仕事を理由に大型連休は実家に帰省せず、普通の週末に帰省するようになっていた。なので、健一さんとは顔を合わす機会さえなくなった。次に顔を合わせたのは、父親の葬儀だった。「そのときの妹の振る舞いがとても頼もしかった」と健一さんは振り返った。

「母親の体調があまりよくなかったこともあり、喪主は私が務めたのですが、妹は私の妻と一緒に葬儀中の対応をしっかりと行ってくれました。その中で、妹は常に母親に寄り添い、行動を共にしていたんです。私は喪主としてバタバタしていたので、母親の様子を確認する時間はなかった。なので妹が母の側にいてくれたことはとてもありがたかったです。私の中にあった妹のイメージでは、親の後ろに隠れているような社交的なタイプじゃなかったので、当たり前ですが妹も大人になったんだなって、そのときにしみじみ思いました」

父親の葬儀の後に、母親と妹との3人で食事する機会があった。そこで父親が亡くなってから初めて泣くことができたという。

「妻は子どもと先に帰っていて、3人で実家で泊まることになったんです。そのときに10年以上ぶりに家族だけで食事をしました。まったく泣くつもりなんてなかったのに、父親との思い出を話し合ううちに泣いてしまっていました。3人とも泣いていたけれど、私が一番泣いてしまって(苦笑)。思い出すと恥ずかしいほどでしたが、2人が泣かせてくれたことで、気持ちがすごく楽になったんですよね」

【妹は一番頼りになる存在になっていた。次ページに続きます】

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