取材・文/ふじのあやこ

日本では婚姻届を役所に提出し、受理されると夫婦と認められる。夫婦となり、パートナーのことを家族だと受け入れられるものの、パートナーの両親やきょうだい、連れ子などを含め、「みんなと家族になった」とすんなり受け入れられる人もいれば、違和感を持つ人もいるという。また、ずっと家族として生活していたものの、分かり合えない関係のまま離れてしまった人もいる。家族について戸惑った経験がある人たちに、家族だと改めて感じられたきっかけを聞いた。
*
一般財団法人全日本情報学習振興協会は、既婚男女と未婚男女を対象に「既婚者と未婚者の結婚観」に関する調査(実施日:2024年10月30日~11月1日、有効回答数:計2047人(既婚者1036人/未婚者1011人)、インターネット調査、モニター提供元:PRIZMAリサーチ)を実施。調査にて、500万円以上の年収を希望する未婚女性は57.3%である一方、既婚女性が回答した夫の年収に該当する割合は50.5%と、約7%が希望よりも低い年収の男性と結婚しているという結果となった。次いで、結婚相手の年収別の既婚女性の幸福度を見ると、夫の年収が500万円以上と回答した女性の幸福度は81.8%に対し、夫の年収が500万円未満だと回答した女性の幸福度は80.9%と、その差は約1%となり、あまり差がないことがわかった。
今回お話を伺った凪咲さん(仮名・43歳)は、30歳のときに授かり婚をするも離婚。35歳のときに再婚をするが、その再婚は夫への愛情がないままのスタートだったという。
憧れの東京で、同僚だった男性と授かり婚をする
凪咲さんは大阪府内の主要都市で生まれ育つ。大阪の都心部にアクセスしやすいところだったこともあり、同級生のほとんどは地元に残っていた。凪咲さんは小さい頃から東京に強い憧れを持っていたが、親から地元の大学に進学することを希望されて東京行きを一時は断念することに。しかし、東京に対する強い憧れはなくならず、就職で上京する夢をかなえる。
「ある程度のものが揃う都会近くで生まれ育つと、みんな地元に残ることが当たり前になります。でも、私は昔からファッション誌を読むのが好きで、ストリートスナップに出ている東京の街に強い憧れを持っていました。大学で上京したかったのに、それが親の反対もあってかなわなかった。だから余計に東京への憧れは強くなりました。東京で就職が決まったときは嬉しくて仕方なかったです」
希望しているところに就職はかなわなかったが、小さな広告代理店に拾われた。小さな事務所では営業をメインに働いていたが、何でも屋のように様々な業務を朝まで行う生活をしていた。そこで1回目の結婚相手と出会ったという。
「朝から夕方までは営業の仕事をして、そこから広告で使う画像を集めたり、広告の事実確認の作業をしたり。深夜まで色んな仕事をしていました。ずっと会社にいたから、東京での出会いは社内しかなく、同僚の1人と恋愛関係になったんです。付き合って半年ほどで、会社に泊まることが多いのにお互いにそれぞれ部屋を借りているのがもったいないという理由で同棲を始めました。そこから全然結婚の話にならなかったのですが、付き合って6年経ったときに子どもができて、結婚することになったんです」
【結婚生活は2年で破綻し、実家に出戻るも…次ページに続きます】
