取材・文/ふじのあやこ

日本では婚姻届を役所に提出し、受理されると夫婦と認められる。夫婦となり、パートナーのことを家族だと受け入れられるものの、パートナーの両親やきょうだい、連れ子などを含め、「みんなと家族になった」とすんなり受け入れられる人もいれば、違和感を持つ人もいるという。家族について戸惑った経験がある人たちに、家族だと改めて感じられたきっかけを聞いた。
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株式会社Clamppyは、熟年離婚を経験した男女を対象に、熟年離婚(20年以上の婚姻期間を経ての離婚)に関するアンケート(実施日:2024年11月25日〜2024年12月9日、熟年離婚を経験している男女1335人、インターネット調査)を実施。アンケートにて、男女別に「熟年離婚をして感じたデメリット」を聞いたところ、男性では「金銭面で不安が出てきた」と回答したのは約3%だったのに対し、女性は約24%と大きく差が開く結果となった。熟年離婚後の女性は中々働き口がなく苦労している人が多いとされる。
今回お話を伺った莉子さん(仮名・45歳)は、28歳のときに夫と結婚するが、夫は父親との関係が悪く、当初は結婚後の親との付き合いはしなくていいと言われていた。
ただ父親とは仲良くないだけだと思っていた
莉子さんは家族との関係でこじれたことや不仲になったことは一度もなかった。4歳上の兄が24歳のときに授かり婚をしてからは、兄の妻である義姉や甥っ子とも良好な関係を築いていた。
「兄の結婚相手である義姉は、兄が高校生のときから付き合っていた相手で、その頃からよく私の家に遊びに来ていたので、いざ結婚するとなっても、特に生活に変化はありませんでした。付き合っていた頃から、義姉は私の両親とも仲良くしてくれていたので、私も結婚したら相手の両親とは仲良くしたい、仲良くできるものだと思っていました」
夫との出会いは職場。お互いが1人暮らしをしていた中で出会ったこともあり、付き合っている間にお互いの親との交流はまったくなかった。相手からの「父親とはあまり仲良くない」という一言もあり、親のことを話題に出すこともあまりしなかったという。
「付き合っているときに私の親の話になって、そこから相手の両親の話を聞いたことがあったんです。会話を遮るように『父親とはあまり仲良くないから』とだけ言いました。少しの沈黙の後には夫は私の両親の話を色々質問してきて、私に質問させる隙を与えないようにしていると感じました。なんとなく相手の親のことは聞いてはいけないことなのだろうと察しました」
夫には5歳上に姉がいて、母親と姉とは連絡を取っているようだった。実家にも年に一度は帰省しており、義父との関係はただ仲良くないだけだと莉子さんは思っていた。
「絶縁状態であれば実家に帰省はしないだろうし、父親との不仲の原因が夫にあれば義母や義姉は夫と仲良くしていないだろうと。義父とはそこまでこじれた関係ではないんだろうなと思っていました」
【結婚の挨拶は30分で終了。次ページに続きます】
