『サライ』本誌2016年5月号でも大特集した「禅」は、人生の処方箋ともいえる知恵に満ちている。そんな禅にまつわる珠玉の行動指針を卓上カレンダー型の一冊にまとめたのが、この『日めくり一日一禅』である。
曹洞宗の禅僧であり庭園デザイナーとしても名高い枡野俊明(ますの・しゅんみょう)さんの言葉で展開される、31の行動指針は、毎日ひとつずつ実践していけば、生活習慣が変わり、ものの見方も変わっていくだろう。
たとえば1日目は「美しい姿勢で立つ」。
「頭の先から尾てい骨まで、一直線になるイメージで立ちましょう。すると、自然に背筋が伸びて顎がひけ、美しい立ち姿になります。体にも負担がかかりません。胸が開き、呼吸もしやすくなります。
姿勢は、見た目の印象を大きく左右します。姿勢がよいと、はつらつとした印象を人に与え、気持ちや表情までも明るくなります」
そして2日目は「息はゆっくりと『吐ききる』」。
「深い呼吸をしましょう。おへその下指3本分のところにある「丹田」を意識しながら、長くゆっくり息を吐き出します。吐ききってしまえば、自然に空気が入ってきますから、意識して吸う必要はありません。
これは丹田呼吸といって、坐禅の時に行う複式呼吸です。この呼吸を繰り返すと、どんどん気持ちが落ち着いて、どっしりと大地に根を張った気分になります。」
このように、1日目から31日目まで、月を通してひとつずつ実践していけるように、合わせて31の指針が開陳されていく。
枡野俊明さんは序文で次のように綴っている。
「無駄なものを手放し、限りなくシンプルに生きる。他人の価値観にふりまわされず、自分の人生を生きる。それが、私の伝えたい禅の教えです。
毎日ひとつずつでも続ければ、小さな変化が積み重ねられ、心を覆っていた薄皮をはがすように、少しずつ、でも確実に、気分が軽やかになっていくはずです。
そして、ある日気がつくと、生まれ変わった自分に出会えることでしょう。」
迷いや不安を手放し、人生を心豊かに生きるために、卓上に置いて日々の行動指針としたい。
【参考図書】
シンプルに美しく生きる禅の教え31
『日めくり一日一禅』(小学館)
著/枡野俊明
詳しくは上の表紙画像をクリック。試し読みもできます。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09942015
文/編集部