近年、少人数婚が増えたこともあり、厳かな神前式が再び注目を集めています。神前式と聞くと、神社での古き良き伝統的な儀式をイメージする方が多いかもしれませんが、和装での式に限らずキリスト教式にも当てはまる呼び名です。
ここでは神社などで行なわれる和装での神前式に焦点を当て、神前式の魅力や披露宴をご紹介します。
目次
神前式とは? その魅力と特徴
神前式から披露宴までの基本的な流れ
神前式後の披露宴はどうする? 場所の選び方
神前式と披露宴の費用相場は?
披露宴での演出とゲストへのおもてなし
最後に
神前式とは? その魅力と特徴
神前式を紐解いていくと、その歴史や形式など意外な発見があるかもしれません。ここでは、神前式の特徴や歴史をご紹介します。
日本の伝統的な儀式としての神前式
「神前式」は、その名称から神に結婚を誓うイメージが強いですが、ご先祖様に結婚を誓う意味も含まれているとの説もあります。挙式に参列するのは「神前式は家と家を結び付ける儀式」との考え方から、両家の両親・親族・仲人がいる場合は仲人までが一般的とされています。
会場は神社のみならず、ホテルや式場でも神殿が設置されていれば、神前式を挙げることが可能です。収容人数や会場次第では、友人が参列することもできます。
「白無垢と黒五つ紋付き袴」の組み合わせで挙式に臨む新郎新婦が多いですが、色打掛や大振袖(挙式での大振袖は黒地の引き振袖のみ)で挙式することも可能です。披露宴で着用する衣装との兼ね合いで選ぶといいでしょう。
大正天皇から続く神前式の歴史
神前式の歴史には諸説ありますが、一説には「武家の結婚の儀式で三々九度の盃を神前で取り交わしたのが始まり」ともいわれています。日本では江戸時代まで「神=八百万の神」が一般的な思想であり、明治維新以降の神は「国家神道の神」とされていたため、江戸時代までの儀式と明治維新以降の神前式は別物といえるでしょう。
現在の神前式に近い形としては、明治33年に当時の皇太子である大正天皇のご成婚がきっかけとなり、東京大神宮が始めたものといわれています。
自宅での婚礼が主流であった庶民にも神前式が浸透したのは、第二次世界大戦後です。「神前式は古来のもの」という印象が強いですが、上記のことから近代に浸透した挙式形式であることがわかります。
神前式から披露宴までの基本的な流れ
神社での神前式の始まりから披露宴までの一般的な流れを、10時開始のケースを例に挙げてご紹介します。
7時:新婦到着、ヘアメイクや着付け開始
8時:新郎到着、着付けやヘアセット開始
9時:仕上がり、その後新郎新婦の撮影や挙式の説明を受ける
10時:挙式開始
10時30分:挙式終了。神社境内で友人に披露、親族集合撮影
11時:披露宴会場に移動
11時30分:控室到着
控室では、一旦お手洗いやメイク直しなど行ない束の間の休息を取ります。その後、準備が整ったら披露宴の始まりです。
神前式後の披露宴はどうする? 場所の選び方
披露宴会場は、会の規模やゲストの顔ぶれによってふさわしい場所を選びましょう。ここでは、神前式後の披露宴会場をそれぞれご紹介します。
料亭
神社での神社式の場合は、身内だけの少人数婚であるケースが多いため、料亭との組み合わせが多く見受けられます。観光地としても有名な神社であれば、近くに料亭があることも多いので移動の負担も少なく済むでしょう。
ホテルや結婚式場
ゲスト数が多い披露宴では、ホテルや結婚式場を使用するのが一般的です。新郎新婦は「花嫁タクシー」と呼ばれる専用の婚礼タクシーで移動し、両親や親族はそれぞれタクシーかシャトルバスなどで会場まで移動します。
神前式の会場がホテルや式場内の神殿の場合は、そのまま同じ建物内の披露宴会場に移動するだけなのでスムーズです。ゲストの顔ぶれによっては、移動の負担を考慮し会場を選びましょう。
神前式と披露宴の費用相場は?
ゼクシィ結婚トレンド調査2024によると、全国の結婚式の平均総額は343.9万円という結果となりました。これは式と披露宴を合算した金額です。
ここでは、神前式の費用相場と節約するポイントをご紹介します。
神前式の費用の目安
神社で神前式を行なう場合は「初穂料(玉串料)」と呼ばれる謝礼金を納めます。金額は会場により異なりますが、神社の相場はおよそ5~10万円程度が一般的です。
神社によっては衣装代や美容代、撮影代、介添料が含まれているオリジナルのプランも存在します。プランの価格はおよそ30万円前後のところが多いですが、初穂料が別途必要なケースもあるので注意が必要です。
ホテルや結婚式場内での神前式の場合は、約10~20万円程度が一般的です。これに衣装や着付け代などが必要となります。
費用を抑えるポイント
費用を抑える場合は、新郎新婦の衣装など自分たちにかかる部分を節約し、ゲストへは充分なおもてなしを心がけましょう。
挙式会場と披露宴会場が離れている場合は、タクシーやシャトルバスの手配なども必要です。式と披露宴会場は近いところを選ぶことで、ゲストの移動費の節約になるでしょう。
中には、「結婚費用を自己負担0円」とし、ゲストからのご祝儀ですべてまかなうプロデュース会社も存在します。そのような会社でも神前式を取り扱っているところもあるので、利用するのも一つの方法です。
披露宴での演出とゲストへのおもてなし
和の雰囲気を活かすことで、会場の世界観がより一層深まります。ここでは、和の演出やおもてなしのアイデアをご紹介します。
和の雰囲気を活かした披露宴の演出例
披露宴での和を取り入れた演出例として、「鏡開き」や「餅つき」があります。それぞれパフォーマンスを行なった後は、ゲストにお酒やお餅を振舞うことがあります。
また、ゲストの各テーブルを回る「テーブルラウンド」と呼ばれる演出も人気があります。洋装の場合はキャンドルサービスやビールサーブなどが主流ですが、和の雰囲気を取り入れるなら、オリジナルのおみくじや和を意識したプチギフトをゲスト全員に渡すなどのアイデアもあります。
ゲストに喜ばれるおもてなしと配慮
どの世代にも喜ばれる演出として、和食を取り入れたビュッフェを採用する方法があります。披露宴の定番演出でもあるデザートビュッフェの代わりに、お茶漬けやお寿司など和のメニューを振舞うものです。
ご年配で足が不自由なゲストがいる場合は、親やスタッフが配膳を手伝うなど、心配りが必要になります。
最後に
口には出さなくても心のどこかで、「子どもの和装姿を一度見てみたいな……」と願うご両親は多いのではないでしょうか。ラフな結婚式が増えつつある昨今ですが、日本ならでは美しさを感じる神前式は、忘れられない特別な時間となるでしょう。
監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/
執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
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