取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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株式会社アタムでは、小中学生の子どもがいる親を対象に「子どもに伸ばしてほしい能力に関する意識調査」(実施日:2024年7月4日~12日、有効回答数:小中学生の子どもがいる親218人(女性152人・男性66人)、インターネット調査)を実施。「将来に向けて子どもに伸ばしてほしい能力」を聞いたところ、1位は「コミュニケーション能力(99人)」、2位は「行動力(50人)」、3位「思考力(40人)」と続いた。回答した親のコメントは、「生きていくために人間関係が大事だから」、「新しいことにチャレンジしたり、必要なら環境を変えたり、生きやすいように生きてほしい」といった子どもが生きやすくなるための能力を求めるものが多かったという。
今回お話を伺った由美子さん(仮名・44歳)は、「親の決めたレールの上をずっと歩いていたのに、『もう大人なんだから』と急に突き放されてしまった」と振り返る。【~その1~はこちら】
進学、就職、異性関係、母親は娘のすべてを管理した
親が希望した高校、大学に進学した由美子さんは学業や習い事だけではなく、プライベートも徹底的に管理された。
「母親は小学校のときには特に気にしていなかったのに、急に中学から異性から電話や年賀状が届くだけで私のことを気持ち悪いものを見るようになりました。それだけではなく、『この男の子とは付き合っているの?』とか、『この子はどういうつもりで連絡を取ってきてるの?』と質問攻めにされます。家族全員がいてもお構いなしに質問攻めにするので、異性のことを父や兄に知られるのが恥ずかしくて。学校では異性から好意を示されることもあったのですが、母親になんて説明すればいいのかわからなかったし、異性と交流することはダメなことなんだって植え付けられていきました」
由美子さんは就職活動をしていた時期は就職氷河期と言われていたこともあり、母親の希望したところには就職できなかった。希望したところ以外は却下だったため、ビジネス系の資格が取れる専門学校に進学することになったという。
「親が希望するような大手で、しかも正社員以外はダメだった。だから早々にエントリーできるところもなくなりました。就職浪人させられるかもしれないと思っていたところ、専門学校のパンフレットを見せられて、『この2年間で資格を取りなさい』と言われました。
私は言われた通りに専門学校に進学して、日商簿記検定2級、情報検定2級、MOSなどの資格を取り、2年後には大手保険会社のグループ企業に就職することができました」
【母親は子育てに失敗したと謝ってきた。次ページに続きます】