取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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株式会社Clamppyでは、「妊娠と浮気や離婚について」のアンケート調査(実施日:2024年6月10日~6月24日、有効回答数:自分か配偶者が妊娠を経験したことがある、現在している408人、インターネット調査)を実施。アンケートでは、161人中44人(約27%)の男性が「相手が妊娠をして自分が浮気をした」「相手が妊娠してどちらも浮気をした」と回答した。しかし、妊娠中に浮気が発覚した後に離婚したという夫婦は全体の17.5%にとどまった。多くの夫婦が生まれてくる子どものことを考えて再構築を選択していることがわかった。
今回お話を伺った円佳さん(仮名・43歳)の親は、約15年前に熟年離婚に至った。母親は円佳さんを身ごもっているときに浮気をされ、そこから離婚をする機会を待ち続けた。円佳さんが結婚後にしばらくしてから父親に離婚を迫ったという。【~その1~はこちら】
父と仲良くすると母親に申し訳ないと思った
父親が暮らす実家の掃除のため月に2度ほど通っていた円佳さんだったが、父と仲良くすることに対して、母親への罪悪感があったという。
「父親のいる実家に通うようになってからも母親とは頻繁に連絡を取り合っていたのですが、なんとなく父親の世話をしていることを隠してしまっていました。母親よりも父親のほうを優先しているという、母親に対する罪悪感のようなものがあったからです。私としてはどちらかを優先しているという気持ちはありません。ただ、父は私を頼ってきて、母親は頼ってこなかったというだけでした」
実家の掃除は、円佳さんが妊娠したことにより中断された。円佳さんは妊娠中には出産のぎりぎりまで仕事を続けたかったが、悪阻などが酷く、仕事をやめることに。家で療養するも、家事もままならないようになってしまったという。そんなときに頼ったのは、頻繁に会っていた父親ではなく、母親だった。
「私が家事を手伝っていたぐらいほぼ何もできない父親に、私のことを助けられるとは思いませんでした。でも、離婚後に何もしてあげられていない母親に頼ることもできなかった。そんな気持ちを察してか、妊娠したことと仕事をやめたことを伝えただけで、母親は仕事終わりや休みの日に私の世話をしに来てくれるようになりました。
私の家に父親が来ることもあったのですが、母親は父親を避けるのではなく、車を持っている父親を使って必要なものを買うために2人で出かけたんです。2人きりのときにどんな会話をしていたのかは知りませんが、私の前では2人とも笑い合ったりしていて、私からは離婚前のように仲良しに見えました」
【両親は良き相談相手になっていた。次ページに続きます】