「一人になりたい」と父親は言った
瑠香さんは大学に進学して一人暮らしを始め、そのまま実家に戻らずに就職した。妹は高校卒業後に専門学校に通って、卒業後に家を出た。妹が実家から離れて1年も経たないときに母親から「お父さんが離婚したいと言ってきた」と連絡があったという。
「母親はすごく取り乱した状態で私に電話をかけてきました。もう遅い時間で翌日も仕事だったので、実家の近くで暮らしている妹に連絡して、母親の側にいてもらうようにお願いしました」
瑠香さんは遅い時間だったこともあり、父親にメールをして、翌日の夜に会うことに。そこで父親の心境を知る。
「父は、『子どもたちが独り立ちするまでと必死に我慢していた。母親と2人でなんて耐えられない。もう十分償った』と言いました。『もう一人になりたい』と疲れ切った顔をした父親を見て、離婚に反対はできませんでした。一人に、ということは私たち子どもの存在も負担だったのかもしれないと思いました」
離婚は親戚を巻き込んだ騒動となり、両親の関係は完全に切れた。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。