取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当時者に語ってもらう。

熟年離婚が増えている昨今、株式会社Trinity questでは「結婚したときの妥協点やそのことに関する後悔、離婚状況について」のアンケート(実施日:2024年6月13日~6月15日、有効回答数:30才~55才の女性で結婚経験がある人(離婚している人も含む)600人、インターネット調査)を実施。アンケートでは、「結婚するとき相手に関して妥協した点はありましたか?」という問いに対して、「妥協した点があった」と回答したのが68.67%となり、「妥協した点はなかった」と回答した31.33%を大きく上回った。さらに「妥協した点があった」と回答した方を対象に行なった「離婚について考えていますか?」という問いに対しては、「すでに離婚している」と回答した人は16%、「離婚について本気で考えている」と回答した人は6%、「離婚について少し考えている」と回答した人は16.57%となっている。

今回お話を伺った瑠香さん(仮名・42歳)は両親の熟年離婚、自身の離婚といった家族関係にとって大きな岐路を二度経験している。

父親の不倫から家は母親の独壇場に

瑠香さんは両親と5歳下に妹のいる4人家族。両親はお見合い結婚で、母親は父親よりも7歳下だったが、両親に上下関係を感じることはなかった。瑠香さんからは、父親が母親のことをとても好きなように見えていたという。

「親族同士が元々知り合いだったことからお見合いすることになったみたいで、昔はそんなことも普通にあったそうです。母方の祖父は私が産まれる前に亡くなっていたのですが、亭主関白な人で、母は祖父とは正反対だった父の優しいところが気に入って結婚したと言っていました。

父親は本当に優しくて、母親はルーズなところがあったんですが、部屋が汚くても洗濯物がたまっていたとしても父の怒ったところを一度も見たことがありませんでした。父は仕事に帰って来てから母親と一緒に家事をしていて、母親のことがかわいくて仕方ないという感じがしていました」

瑠香さんから見て、両親の関係は良好に見えていたが、瑠香さんが高校生のときに父親の不倫が発覚する。不倫相手が家に電話してくるなど、一時は親族を交えての騒動に発展していたが、両親は再構築を選ぶ。

「母親は私たち子どもの前でもお構いなしに父親を泣きながら責めて、祖母が必死になだめるという状況でした。父方の祖父母までもが母親に頭を下げて、夫婦の再構築に至りました。『離婚するのを我慢してあげた』と母親は言っていました」

不倫した父親のことを瑠香さんや妹は気持ち悪いと思い、家では無視をするように。しかし、母親の行ないを見て、瑠香さんは父親に対する態度を軟化させていったという。

「父親の不倫のことを母親からすべて聞いていたので、父親のことは本当に気持ち悪かった。同じ空間にいることも嫌で、食事の時間もずらすようになっていました。

でも、再構築してから母親は家事をしなくなり、父親のお小遣いを減らした分で自分が欲しいものを好き勝手に買うようになっていったんです。父親はそれに対して文句は言わなかったのに、母親は父親に対して暴言まで吐くようになっていって……。私は父親のことをかわいそうに思うようになりました。母親にバレないように家事を手伝っていました」

【「一人になりたい」と父親は言った。次ページに続きます】

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