「好きじゃないなら、別れなさい」

彼と距離を置いたことを母親が気づき、相談することに。その中で母親から「なんで一緒にいるの?」と聞かれたという。

「仕事もセーブして、彼の家にも行かなくなったから家で過ごす時間が多くなり、母親との会話の中で彼のことを相談したんです。彼との時間を頑張って作ったのに空回りしてしまったと。そしたら、母から『なんで一緒にいるの?』と聞かれました。一緒にいる理由は、結婚するなら彼しかもういないと思っていたからです。でもそんなことを素直に親に伝えることができずに黙っていると、『好きじゃないなら、別れなさい。普通の恋人ならそうするでしょう』と言われました。その言葉で、もう彼のことを好きじゃないことに気づいたんです」

温子さんは彼氏と話し合った後に別れ、現在は40歳のときに出会った同世代の男性と付き合っている。

「今の相手とは長い友人期間があったので、付き合う前から病気になった過去を伝えていました。実は、手術後には性交痛が出るようになり、誰かと付き合うことをずっと避けていたんです。彼はそんな私も受け入れてくれています。

親は結婚に対して何かを言うことはありませんでした。だから、無理してまで結婚する必要がないと、自分の意思通りに選択できたんだと思います」

人生の中ではさまざまな転機に遭遇し、病気もそのひとつといえる。その転機の中でどの選択が正しいかは誰にもわからない。温子さんは自分で納得して結婚を選択しなかったが、その選択にたどりつくためには信頼できる人との関わりが大切だったように思う。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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