私のことをわかってくれるのは妻だけだった

妻はその意見に対して不服そうな顔をしたものの、“お父さんもああ言っているし”と納めてくれたが、娘はそうはいかなかった。「マジ、父親ウザいんですけど」となり、それから2年間口を利かず、挙句の果てに、2年生の2学期で高校を中退してしまった。

そのことを非難すると「はあ? 自転車も買ってくれなかったのは誰?」と一蹴。その後、娘は高校卒業認定試験を受けて合格。美容専門学校に進学し、今は中央線沿線の美容サロンに勤務している。

「娘は、ラッパーの婿と幸せに暮らしています。家内が結婚を許可したから、娘の今の幸せはある。それなのに冷たいんですよね」

40歳になる長男について伺った。

「あいつはホントにどうしょもない。小中高大の一貫校に通わせてやったのに、大学は3年で中退……と言うより、素行不良で追い出されたというべきか。パーティ系のサークルの幹部のようになり、パーティ券をさばいていたことと、何らかの法に抵触するようなことをしたんでしょうね」

中退以降、息子は飲食店で働き始める。

「大学の先輩の縁もあるんでしょうね。財閥系企業のレストランとかいろいろ働いていました。その頃は多くとも月に5万円程度しか要求してこなかった。しかし、27歳の時に、年上の女性と同棲をし始めてから、5万、10万、30万と要求するようになった。私もそれなりに収入があり、一切合切を妻に任せていたら、気付けば1500万円が消えていた」

【妻ががんになっても、保険外治療の金はなかった ~その2~ に続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。

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