父親に頼りたくなくて、学費の借用書を交わして進学
専門学校進学は父親にお金を借りるかたちでの進学となっていて、社会人になった後に毎月決まった額を返済していくという契約を結んでいた。これは武志さんから言い出したもので、父親に頼りたくないという思いが強かったからだという。
「第一志望の高校に落ちたことで父親だけでなく、自分も自分自身に期待しなくなっていました。だから滑り止めの高校なのに落ちぶれて、大学なんてとてもじゃないけど行ける頭がなかった。それでも、社会人にはなりたくなかったので、借用書の書き方を調べて父親に提出しました。父親は何も言わずにその借用書に印鑑を押して、お金の手配を母親に命令しました」
伯父の家に移り、2年後に就職するも、武志さんはそのまま伯父の家で生活を続ける。父親への返済額は毎月3万。専門学校には約240万で返済期間は7年弱の計算だった。社会人になってから伯父の家にも月2万いれていて、生活は楽ではなかったが、年末には残った貯金額をまとめて返済に充てるなどして、5年かからずに返済は完了した。
「返済のお金は親が用意した銀行口座に入金していました。専門学校を卒業後は、印刷をメインに行う企業に就職して、DTPの仕事をしていました。学生時代のアルバイト先にそのまま就職したんです。給料は安かったので、毎月5万の捻出は必死でした。でも、父親に『できない』とは絶対に言いたくなくて」
伯父の元を離れ、付き合っていた女性と同棲を始めるも、父親の呪縛は解けていなかった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。