過去に、親族の結婚式に出席したことがある方なら、一度は「親族紹介」というプログラムに参加した経験があるのではないでしょうか? ほとんどの方にとっては、結婚式が相手側の親族との初対面の場となるでしょう。親族紹介は、お互いの親族を知ることができる貴重な機会となります。
いざ結婚式が始まると、相手側の親族と話す機会はあまりないものです。親族紹介がなければ、相手がどんな間柄の人なのか分からないまま、結婚式を終えることもあるかもしれません。親として親族紹介を取り仕切る立場であれば、紹介の順番や挨拶など、基本的なポイントを把握しておくとスムーズです。
本記事では、親族紹介の詳細や流れ、挨拶例をご紹介します。
目次
親族紹介とは?
親族紹介の流れと例
親族紹介の注意点
最後に
親族紹介とは?
親族紹介とは、結婚式当日に両家が一部屋に集い、お互いの親族を紹介するものです。親族紹介は、あくまでプログラムの一つで義務ではありません。しかし、多くの方が、今後の両家の良好な関係のために、親族紹介を取り入れています。
会場によりタイミングは異なりますが、親族紹介は挙式前に行なわれる場合がほとんどです。それ以外の場合、「挙式後」「親族集合写真撮影後」「披露宴開始前」のいずれかのタイミングで行なわれます。
以前の親族紹介は、新郎新婦が親族と共に参加するケースが主流でした。しかし、最近では、新郎新婦は不参加で、親族のみで行なわれる形式が増加傾向にあります。
近年の親族紹介のスタイルは大きく分けると、以下の2種類です。
1:一家の代表者が親族全員分をまとめて紹介する
2:一人ずつ自己紹介する
いずれの方法であっても、親族紹介を円滑に進めるために、参加者には事前に流れを説明しておくと親切です。
親族紹介が行なわれる場所
基本的に親族紹介は、親族控室や挙式会場で行なわれます。会場にもよりますが、親族控え室は外せる間仕切りで区切られており、親族紹介が開始するタイミングで間仕切りを外されるケースが多いようです。
場所に関して希望がある場合、事前にプランナーに相談するようにしましょう。
親族紹介の範囲
親族紹介の範囲に厳密なルールはありません。基本的には、親・兄弟姉妹(配偶者や子どもがいる場合はその人たちも)、そこに祖父母や伯父・伯母・いとこを交えるケースが多い印象です。
親族が多い場合、親族全員が親族紹介に参加する必要はありません。大勢の親戚全員を紹介するのは、かなりの時間を要し大変です。そのような場合、「日頃から付き合いがあるかどうか」を重視して人員を選びましょう。
親族紹介の範囲は、可能であれば両家で揃えるのが望ましいとされています。家庭により親戚の人数に差があるのは当然ですが、人数に大差があると、少ない側は肩身の狭い思いをするかもしれません。例えば、「新郎側は親兄弟だけなのに、新婦側はいとこまで大勢きた」というようなことは避けましょう。
親族紹介を仕切る人
これまでの多くの結婚式では、「媒酌人(ばいしゃくにん)」と呼ばれる、結婚式を仕切る人物がいたため、媒酌人が親族紹介を取り仕切っていました。
しかし、近年の結婚式は媒酌人を立てないケースがほとんどです。媒酌人に代わって、両家の父親がそれぞれの親族を紹介する形式が一般的となりました。基本的には両家の父親が務めますが、父親が不在であれば、母親や伯父が務めても問題ありません。
会場によっては、スタッフが進行役を務めるところもあります。その場合は、事前に順番や氏名等、間違いがないようしっかり確認して、進行してもらいましょう。
親族紹介の流れと例
一般的な親族紹介の流れは、
・始まりの挨拶
・新郎側紹介
・新婦側紹介
・結びの挨拶
の順番です。
紹介する際、親族の呼び方は親目線ではなく、新郎(新婦)から見た間柄で呼びましょう。例えば、一族の代表者として父親が母親を紹介する場合、「妻の~」ではなく「新郎母の~」と呼ぶのが基本となります。
また、敬称は付けないのがマナーです。自分より年配の親族であっても、敬称は省略して紹介しましょう。
ここでは、項目ごとに挨拶例をご紹介します。
始まりの挨拶
始まりの挨拶は、新郎側の代表者もしくはスタッフが行ないます。
新郎側の代表者の場合:「これより、○○家(新婦側)の皆さまと、△△家(新郎側)の親族紹介を行ないます。どうぞよろしくお願いいたします」
新郎側紹介
1:代表者がまとめて紹介する場合
紹介する順番は、血のつながりが濃く、年齢が高い順に紹介します。
「○○家(新婦側)のご親族の皆さま、私は新郎の父の□□と申します。これより△△家(新郎側)の親族を紹介いたします。こちらは新郎の母の◇◇です。その隣は姉の◎◎です」
紹介された人は、一言挨拶して一礼しましょう。
2:自己紹介形式の場合
前段で述べたように、親族紹介は新郎(新婦)から見た間柄で伝えるのが基本です。しかし、兄弟姉妹が自分の配偶者や子どもを紹介する場合、紹介者本人との間柄を伝える方が分かりやすいケースもあります。臨機応変に対応しましょう。
時間が許せば、簡単なエピソードを添えると場の空気が和らぎそうです。
「私は新郎の兄の■■と申します。今は他県住まいですが、たまに電話するほど新郎とは仲が良いです。隣は妻の◆◆と、息子の□□です。どうぞよろしくお願いいたします」
新婦側紹介
新郎側の親族紹介が全員終了すれば、次は新婦側の親族紹介です。
新婦側の代表者:「△△家(新郎側)のご親族のみなさま、ご紹介ありがとうございます。続きまして、〇〇家(新婦側)の親族を紹介させていただきます」
この文に続けて、新郎側と同じように親族を紹介していきます。
結びの挨拶
新婦側の親族紹介が終了すれば、進行役が結びの挨拶を行ない、全員で一礼しましょう。
「今後とも、幾久しく(いくひさしく)よろしくお願いいたします」
※「幾久しく」とは、「末長く」や「いつまでも変わらない」という意味があり、おめでたい場での決まり文句です。
親族紹介の注意点
ここでは、親族紹介の注意点をご紹介します。
欠席者がいる場合
出産や病気で親族の中に欠席者がいる場合、紹介の順番もしくは親族紹介の終盤に、欠席の旨とその理由を手短に伝えます。説明しにくい欠席理由であれば、無難な理由で済ませても良いでしょう。
家族に故人がいる場合
基本的に、身内に亡くなった方がいる場合、無理に紹介する必要はありません。新郎(新婦)と相談し、本人が相手側に伝えておきたい気持ちがあれば、伝えるという姿勢で良いでしょう。
伝える場合、詳細を話す必要はなく、「父親は、新郎がまだ幼い頃に他界しました」というようにさりげなく伝えます。故人の席や遺影の用意は、不要です。
親族紹介が行なわれない場合
さまざまな事情が重なり、「親族紹介は行なわない」というケースも中にはあるかもしれません。仮に、両家がそれに合意していたとしても、親は歓談中に相手側親族のテーブルへ伺い、挨拶しておくと良いでしょう。
近年主流の少人数婚やリゾート婚の場合、親族紹介の時間を取らないこともあります。その場合、司会者が場を仕切り、会食中に親族を紹介することもあります。
最後に
結婚式が終了すると、お互いの親族で顔を合わせる機会はほとんどないものです。親族の中には、対面するのが最後となる方もいるかもしれません。そう考えると、親族紹介は大切な顔合わせの時間です。
親族紹介でミスをしないか不安な方は、紹介の順番や氏名・続柄を記したメモを用意するのも良いでしょう。堅苦しくなりすぎず、やりやすい方法を取り入れて、相手側に好印象を与えられるよう振舞いたいですね。
監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/
構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
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