国民年金の支払いを忘れてしまいますと障害年金の受給ができなくなったり、長期にわたる滞納の場合には差し押さえがされるなど、様々なデメリットが生じます。遅滞なく支払いをする必要がありますが、比較的利便性が高く、かつ前納もできる代表的な方法がクレジットカード払いです。
そこで、今回は日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士 中川義敬が、長年にわたる税理士業務を通じて得た知識や経験に基づき、国民年金保険料のクレジットカード支払いについて、メリットや注意点についてご説明いたします。
目次
国民年金はクレジットカードで支払い可能?
国民年金をクレジットカードで支払う方法や手順とは?
国民年金をクレジットカードで支払うメリットは?
国民年金をクレジットカードで支払う注意点は?
まとめ
国民年金はクレジットカードで支払い可能?
ご指定のクレジットカードから、定期的に国民年金保険料を納めることが可能です。クレジットカードで納付すると手間がかからず、納め忘れを防ぐこともできます。
また、支払方法も1か月毎の支払いのほか、「6か月分」「1年分」「2年分」をまとめて支払う「前納」が可能です。前納することにより、期間に応じて国民年金保険料が割引されます。
金融機関の窓口や、コンビニエンスストアでのお支払いの手間を省くことができ、前納制度により割引も活用できるため、クレジットカードでのお支払いは便利です。
ただし、以下のような留意点があります。
・国民年金保険料が一部免除された方は、クレジットカードでのお支払いはできません。
・カード番号等に誤りがあると、手続きが間に合わない場合があります。
・国民年金保険料のお支払いに利用できるクレジットカードは、次のいずれかの国際ブランドのマークが付いたクレジットカードです。VISA、MasterCard、ダイナースクラブ、JCB、アメリカンエキスプレス(アメックス)。
国民年金をクレジットカードで支払う方法や手順とは?
まずクレジットカードの利用申請書を年金事務所へ提出します。提出時期は、いつでも可能ですが、前納の場合は申し込みの時期によって、初回の立替納付期間が異なりますので注意が必要です。
提出場所は近くの年金事務所となっており、窓口のほか、郵送による手続きもできます。提出する書類は、「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」になり、この申出書は年金事務所の窓口、または日本年金機構のHPより入手が可能です。
留意点としては、クレジットカードの名義人が被保険者本人、または被保険者の配偶者以外の場合は、あわせて「国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書」の提出が必要となります。
なお、納付の開始月は手続きをした月の翌月以降で、「国民年金保険料クレジットカード納付開始(変更)通知書」が届きますので、こちらで現在の状況をご確認できます。
納付方法に前納(6か月前納、1年前納、2年前納)を選択する場合、令和6年3月以降のお申し込みから、年度の途中からでもクレジットカード納付によるまとめ払い(前納)が可能になります。
国民年金をクレジットカードで支払うメリットは?
国民年金をクレジットカードで支払うメリットは様々ありますが、大きくは次の3点があげられます。
(1)ポイントやマイルが貯まる
国民年金の納付金額に応じて、ポイントやマイルが貯まります。ただし、カードによっては対象とならないものもありますので注意が必要です。
(2)3種類の前納方法を選べば国民年金が割引される
前納することにより割引を受けることが可能です。前納する期間が長いほど割引率は優遇され、最大15,290円の割引を受けることができます。詳しくは下記のとおりです。
前納の種類・納付額・割引額
2年前納 | 1年前納 | 6か月前納 | 当月末振替(早割) | 毎月納付 | |
1回あたりの納付額 | 398,590円 | 200,140円 | 101,050円 | ― | 16,980円 |
割引額 | 15,290円 | 3,620円 | 830円 | ― | ― |
(3)年金の支払い状況を管理できる。
クレジットカードのご利用明細を確認することにより、納付金額や納付内容を確認することができるようになり、未払の状態を把握することができます。また、クレジットカードを公共料金、遊興費、生活費と分けて管理することができれば家計の管理もしやすくなるでしょう。
国民年金をクレジットカードで支払う注意点は?
クレジットカード本来の取り扱いによるものと、年金手続き固有のものと、大きく2つあります。
クレジットカード本来の取り扱いによるもの
事前申請が必要で時間がかかる可能性があります。クレジット払いを検討する際はある程度余力を持って申請しましょう。また、クレジットカードには利用限度額があり、そのカードで使える上限額が決まっています。利用限度額を超えてしまっている場合は、そのクレジットカードは使うことができませんので注意必要です。引き落としができなかったときは、納付書で納付することになります。
年金手続き固有のもの
国民年金に使えるクレジットカードの支払い方法は、1回払いのみです。分割払いやリボ払いは利用できません。また、リボ払い専用のカードも利用できないので注意が必要です。また、納付書をコンビニ窓口等に持参しその支払いをクレジットカード払いで行うことはできません。
まとめ
国民年金の支払い忘れは、遺族年金や障害年金の受け取り等、様々なデメリットをもたらします。クレジットカード支払いにすることにより、国民年金の支払い忘れを防止し、また、クレジットカードの明細書で支払状況を把握することにもつながります。同時に、前納による割引を受けたり、カードのポイントを貯めることも可能です。クレジットカードで年金の支払いをすることは、便利でメリットも多いので1度検討してみてはいかがでしょうか。
●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)
日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。
日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)
構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com)