取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして子供について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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美容整形のCMが流れるようになったり、SNS上で整形の情報発信をする人が増えて、美容整形は身近な存在になってきている。ベリーベスト法律事務所では、美容施術に対する意識調査(実施日:2024年1月25日~2024年2月1日、有効回答数:全国18~64歳の女性1500人、インターネット調査)を実施。調査で美容施術についてポジティブ(好意的)、ネガティブ(否定的)に対する印象を聞いたところ、ポジティブと回答した人が75.9%で、ネガティブと回答した人が24.1%という結果になり、ポジティブ印象が高いことがわかった。
今回お話を伺った亜美さん(仮名・42歳)は小さい頃から自分の容姿が大嫌いだったと振り返り、「私はお母さんに似たからブスになった」と母親に伝えてしまったという。【~その1~はコチラ】
美容外科のパンフレットを隠して持ち帰った
高校のときはまだ周囲にそこまで化粧をしている子もおらず、校則で化粧は禁止されていた。中学の頃から体型に気を使うようになっていたことから周囲よりもスリムになり、ニキビ肌も落ち着いていた。彼氏ができるなど、容姿について卑屈に思うことは減っていたという。
「先生にバレないぐらいに、アイブロウとファンデーションのみを薄くつけて、生まれつきですってくらいの茶髪に染めて、ミニスカートから痩せてきれいになった足を出していました。モテるまではいかなくても彼氏もできて、周囲から浮かない程度には女子高生をやれていました」
自分の容姿についてコンプレックスが強くなったのは、大学のとき。地元から都心の大学に通ったこともあり、周囲に垢抜けている子が多くなった。そんなとき、脱毛で通っていたビルに美容外科が入っていることを知り、パンフレットを持って帰った。
「化粧をいくら頑張っても元が悪いから、周囲の子に追いつけませんでした。特に私は目が腫れぼったくて、アイプチ(人工的に二重を作る化粧品)をしても数時間で取れてしまっていた。アイプチによってできた不自然な二重も近くで見られるのが嫌で、どんどん自分の顔が嫌いになっていきました。
そんなときに、通っていた脱毛サロンと同じビルに美容外科が入っていることを知ったんです。まだインターネットは出始めたぐらいの時期で、ネットからの情報もほぼない状態で、そのビルの看板に置いてあったパンフレットの情報がすべてでした。整形は他人に知られてはいけないこととされていた時代でもあったので、パンフレットも周囲に隠しながら持ち帰ったことを覚えています」
パンフレットを熟読し、目の整形がどうしてもしたくなってその病院の無料相談に行く。目の腫れぼったさを指摘され、整形には高額のお金が必要だということを知り、母親に相談したという。
「金額などはあまり詳しく覚えていないんですが、医者は私の瞼を触りながら『脂肪が厚い』とか、『結構切除しないときれいな二重はできない』というようなことを言われました。
当時はアルバイトをしていたけど、人気の携帯を買ったり、脱毛サロンや足のO脚を直すために整体サロンに通っていて、貯金はまったくありませんでした。だから、母親にお金を貸してくださいと言ったんです。それに対して、母親からは『ダメ』の一点張りでした。『五体満足で産んだのに、自分の体に傷をつけるなんて信じられない』と言われて、この人(母親)は何もわかってくれないと悟りました」
【なぜ整形がしたいのか、相談できる相手が欲しかった。次ページに続きます】